『ヤフー・トピックスの作り方』という本を読みました。1年前の本ですね。ヤフー・ニュースのトピックス編集部長が書かれています。
ヤフー・トピックスの裏側というか、どのようにしてトピックスが選ばれて、どう13文字に表現しているかという裏話もおもしろいのですが、考えさせられたのはメディアとしての社会的な意義や倫理観について書かれている部分。ひいては、コンテンツを発する側(企業のWebサイトや、たとえば僕のブログも)としての心がけにつながってきます。
「企業のホームページというのは商品や新サービスを宣伝するためにある」と頭から決めつけたようなホームページには正直、トピックスからリンクしにくいのですが、そうではなく、「企業が自身の得意な分野に関する知識や情報を発信するためにある」という考えで作られたホームページならば、ニュースという公共性の高いサービスとの間のリンクをつなぎやすくなります。
「ヤフー・トピックスに載るために」という前提で読むとおかしな方向に行ってしまいますが、これは企業等のWebサイト制作をはじめとするあらゆる事象において、とても大事な視点のひとつだと思っています。企業論理でただ商品を並べて売り込むのではなく、利用者や顧客にとって自分たちはどういった価値が提供できるのか、貢献できるのかという視点で語ること。
「ユーザー目線」は言うは易しなのですが、この文章を読む人やページを見る人にとって価値を提供できているのか、あるいはその期待を持たれているかどうか、そういう意識をもっと持っていなければと思います。
企業広報やプロモーションの目的は、自社の良いイメージを作っていくという皮相的なものではないはずです。単にお金儲けをするだけではなく、企業活動を通じて社会に貢献していける何かがあるからこそ、その企業には存在価値が認められるのだと思います。
もし企業が発信している情報が、単なる金儲けの「売らんかな」の宣伝ではなく、「世の中を良くしたい、いい方向に変えていきたい」という情熱や信念に支えられている価値あるものであれば、その思いは報道機関の記者にも届くことでしょうし、トピックス編集部もご一緒したいと思っています。
「価値を伝えること」。表層の「商品を売る」とか「テクニックやtips」ではなく、いや、だけではなく、本質として僕は私たちは何を提供できるのか、何を伝えたいのか、そういうところをもっと伝えていかなければいけません。
そういうものは得てして伝わりにくいですし、時間もかかりますし、なかなか広がりません。広がる仕組みとしては、Web上には「ソーシャルメディア」とくくられる構造がありますが、あくまでそれは仕組みの部分であって、もっと頭を使わないといけないのは、何を伝えるのかという部分。価値。
一年前の本ですが、非常におもしろく読ませていただきました。
追記。余談ですが、コンテンツを作り発信していく上でのヒントやアイデア、気付きが多くありました。明確に書かれていたわけではないですけれど。
奥村倫弘¥ 777
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