CMを見ていると、ビール(発泡酒、新ジャンル)のCMで「○○No.1」というコピーをよく見かけます。1番になることは確かに大事なのですが、この業界だけ妙に1番を競っているような感じもします。たとえば同じ飲料でも、缶コーヒーではあまり「売上No.1」というCMは見ませんしね(お酒以外では他社商品の販売状況がわかりにくいというのもあるのかもしれません)。
ということで、ビール、発泡酒、新ジャンルの何がどの分野でどう「No.1」なのか、整理してみました。
「No.1」のビール、発泡酒、新ジャンル
メーカー・商品名 | コピー | 詳細 |
---|---|---|
アサヒビール アサヒスーパードライ |
ビール売上No.1 | 2008年アサヒビール年間ビール課税移出数量に基づく |
アサヒビール クリアアサヒ |
アサヒビールは「麦の新ジャンル」売上No.1 | アサヒビール2008年年間「麦の新ジャンル」合計の課税数量に基づく。特定の銘柄を指すものではありません。 |
キリンビール キリン一番搾り |
NIPPON ICHIBAN | 特になし |
キリンビール 麒麟淡麗〈生〉 |
発泡酒売上No.1 | 1998-2008キリンビール発泡酒課税数量 |
キリンビール 麒麟ZERO |
発泡酒低カロリーNo.1 | 発泡酒の中でいちばん低カロリー 当社調べ(調査対象1994年~2008年12月発売の国産発泡酒) |
キリンビール のどごし〈生〉 |
4年連続売上No.1 | 2005年「その他雑種(1)」、2006年-2008年「その他の醸造酒(発泡性)(1) 課税数量 |
すべて、CMにて謳われている内容から引っぱってきています。「コピー」の項目は、あくまで「No.1」の要素に絡むコピーを抜粋しているので、商品そのもののコピーではありません。「詳細」の項目は、CMに小さい文字で書かれている注釈から拾っています。
所感
- クリアアサヒそのものは、No.1ではないようだ。また、「新ジャンル」の中でさらに細分化した範囲で、会社としてNo.1らしい。
- キリン一番搾りは、「NIPPON ICHIBAN」とはいうものの、特に何かで1番というわけではない(「一番搾り」の「1番」か。でもイチローの起用が何かを印象づけようとしている感も)。
- のどごし〈生〉は、「のどごしNo.1」と以前のCMでは言っていたが、「のどごし」とは何?
- のどごし〈生〉は、どの範囲でNo.1なのかがメッセージとしては届かないよね。
- 各社各商品とも、CMでは「No.1」と高らかに謳うけれど、Webサイトでは逆にアピールしていないところがほとんど。WebサイトでもNo.1と謳っていたのはキリンの「のどごし〈生〉」ぐらい。
- えーと、そもそも「新ジャンル」って何でしたっけ?
「どの範囲で」No.1なのがわかりやすいことが大事
メッセージを受け取る側の消費者は、「○○ってなにか知らないけど1番らしいよ」という程度の認識がほとんどではないかと思います。細分化された範囲というのは印象に残らない限り覚えていません。ですので、企業側は誤解を生むような表現はするべきではありません(このビールの類の話に限らず、一般論として)。
たとえば今回調べた中では、クリアアサヒの「No.1」は商品として売上No.1ではないらしいのですが、これがどこまで消費者側に理解されているか、逆に言うと、企業はどういうメッセージを消費者に与えようとしているのか、その場しのぎの戦略ではないならば、理解されやすいメッセージを届ける方がよいはず。
「No.1」というのはシンプルで届きやすいメッセージですが、「どの範囲で」No.1なのか、その範囲がすぐにイメージできるもの、理解されるものでないと、そのメッセージは正しく理解されず定着しないんじゃないかと思います。