「滞在時間が次のWebサイトの評価指標だ」というわけではないのでは?

ちょっとタイミングを逃した感がありますが、アメリカの調査会社ニールセン・ネットレイティングス(Nielsen//NetRatings)がサイトの価値を表す指標をPV(ページビュー)から滞在時間に変更すると発表しています。

最良の指標は「総滞在時間」、Nielsen//NetRatingsが位置付け見直し – INTERNET Watch
ニールセン・ネットレイティングス、PVでなく滞在時間でサイトをランキングへ:ニュース – CNET Japan
ITmedia News:Nielsen//NetRatings、ネット視聴率の測定方法を変更
ページビューでは Web 2.0時代のサイトを正しく評価できない―米ネットレイティングスが「滞在時間」を重視 – MarkeZine

発表されたプレスリリース(PDF)を読めば、「滞在時間(Total Minutes)」と「セッション数(Total Sessions)」を新たな指標に加えた、ということのようです。基本的には賛成です。

Nielsen//NetRatings, a global leader in Internet media and market research, announced today that it added both “Total Minutes” and “Total Sessions” metrics to NetView, its syndicated Internet audience measurement service. While NetView has always reported average time per person and average number of sessions, the new metrics deliver greater perspective on total engagement across sites.

ただ、「滞在時間が次の指標だ!」と一人歩きしている感があるのでつけ加えておくと、「滞在時間は、Web 2.0サービスの初期ステージを評価するのに最適な指標だ」ということでしょうか。

“‘Total Minutes’ is the best engagement metric in this initial stage of Web 2.0 development, not only because it ensures fair measurement of Web sites using RIA and streaming media, but also of Web environments that have never been well-served by the page view, such as online gaming and Internet applications,” said Scott Ross, director, product marketing for the NetView service.

よく勘違いされますが、必ずしも「PVが多い=サイトとして成功」というわけではありません。サイト上で目的を達成するのに5PVかかるのと2PV とではユーザーにかかるストレスは大きく違うはずですし、逆に言えばページ構成を細工することで意図的にPVを増やすことだってできます。また、述べられているようにAjaxやFlashを用いればページ遷移は減ります。だから「PV至上主義」を是正するのには賛成です。

ただし、滞在時間もセッション数(ユニークユーザーとかまあその辺り)も、指標として万能ではないとも思います。滞在時間も、ブラウザでページを表示しているからといって必ずしも閲覧しているわけではありません。席を立つ場合もありますし、コーヒーを飲んでいる場合もありますし、タブブラウザを利用していればそれこそ開けっぱなしということにもなります。

検索エンジンとコミュニティサイトを同じ指標で測ろうとするから無理なところが出てくるのであって、サイトの目的ごとにどのような指標がふさわしいのかをちゃんと考えなければいけない、ということなんだと思います。

例えば、僕はRSSフィードでアメーバニュースを取っていますが、 RSSリーダー上でほとんど読んでしまうので、PVにも滞在時間にも貢献していません。この場合であればRSSフィードの購読数も指標のひとつになるべきでしょうし、別のサイトではウィジェット系などを利用している人向けに何か別の指標も必要だったりするのかもしれません。

どれだけ engage しているかを測るのは難しいですが、PVだけではもう難しい、ということだと理解しています。