『刺さる広告』を読んだ

『刺さる広告』

『刺さる広告』という本を読みました。正確な書名は『費用対効果が23%アップする 刺さる広告』ですが、いずれにせよこのタイトルは別の内容を想起してしまいそうで、ふさわしくないと思います。といっても英語の原題も『What Sticks』なのですが、でも非常に良い内容でした。

これまでないがしろにされてきた広告の「効果測定」をなんとか論理的、科学的に実施して、広告費用やその配分の最適化を図りなさい、という内容の本。これまで無駄に浪費してきた(そして浪費してきたことにすら気がつかなかった)広告費を効果が高い部分に配分し、ROIを高められるというもの。あまり「ROI、ROI」というと机上の空論ぽく聞こえますが、実際そういう内容です。

ここで言う「広告」とは、費用対効果が測りやすいWebの領域の広告(リスティング広告など)というわけではなく、ブランディングを目的としたマス広告が中心の話。

と書いてはみたものの、うまくまとめられないな。確かに、前半は考えたり噛みしめたりしながら読むような軽く小難しい内容で、後半からおもしろくなってきます。

特に第13章。「長年の経験」という根拠のない言い訳でだますようにプレゼンしている代理店のプランナーを小馬鹿な感じで紹介し、でも実はそれがかつての著者自身だと白状しているところでああこの本はすごいなと思いました。その根拠のないプレゼンからの反動。その数字はどういう意味を持っていてどういうニュアンスで捉えなければならないのか、そもそも何が目標(ゴール)で、それを測るためにどんな数字/指標を追いかけなければいけないのかを、事細かく解説しています(特に前半から中盤にかけて)。

最後の方に出てくる「リーチは真のリーチではない」は、「ページビューは真のページビューではない」の話と同じですね。リーチと効果はイコールではないですし、ページビューと効果はイコールではない。その後に続く「重要なのはプロセス内指標ではなく成果」というのもそのとおり。最終的に成果が上がらなければ意味がない。

アマゾンのレビューに「付箋の箇所が普通の本の2冊分」とあるのですが、僕も同様でした。効果測定は「何をゴールとするか」と「何を指標にするか」を間違うと意味をなくしてしまったりでむずかしいものなのですが、ビジネスにおいて効果測定はものすごく大事なはずです。その一方でないがしろにされていたりするのですが。

惜しむらくは、本のタイトルが「いかに広告で人の心を捉えるか」と想起させてしまうところ。でも良書。勉強になりました。

費用対効果が23%アップする 刺さる広告―コミュニケーション最適化のマーケティング戦略

費用対効果が23%アップする 刺さる広告 – コミュニケーション最適化のマーケティング戦略
レックス・ブリッグス、グレッグ・スチュアート
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