『ヤバい経済学』を読んだ

『ヤバい経済学(増補改訂版)』を読みました。1年以上前に買ったと思うので、かなり長い間積ん読していたことになります。分厚い本はなかなか手が伸びません。

基本的には、統計数字をもとにした「相関」と「因果」に関する内容の本。あるいは印象論と数字による冷静な分析との差についての本。相関関係と因果関係は普段でもよく勘違いされることが多いのですが、この本では「世間的にその2つの事象に因果関係があるとなると、誰かが抗議するだろ」という内容が、嬉々として語られています。中絶を規制すると犯罪発生率が増えるだとか、子供にとって銃よりもプールの方が危険だとか。

最近だと、マンナンライフの「蒟蒻畑」への規制だったり、この数ヶ月の新型インフルエンザへの過剰報道もよく似た話だと思いますが、(ここからは誤解を招きそうですが)僕ら一般人にそれはどれだけの影響や死への可能性があるのか、それは客観的に見てどのレベルまで規制されるべきものなのか、という話ですね。

僕も仕事として数字を扱っていることもあり、数字をどうやってみせるか、関係性をどう伝えるかという立場にいます。数字のこういうトリックな部分も理解はしているので気をつけてはいますが(つまり、因果はないのにそれらしく見せたりすることはできるということ。したくないですが)、冷静に物事を考えるという癖があれば、こういうトリックにはだまされにくくなります。

最近にはじまらず、マスによる報道は物事を簡潔にかつ大げさに取り上げがちで、誤解を招きかねない内容のものが多いです(ああでもこの文章の書き方も印象論だな、まあいいや)。こういうところを見る眼を養う教育って、どこでされているのか知らん。

ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]
スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー
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2件のコメント

  1. ぼくもこの本、タイトルが「ヤバい」ので敬遠していたのですが、図書館で借りてみればあまりの面白さに一気に読了した記憶があります。正直、この邦題をつけるセンスの方がよほどヤバいです。苦笑。
    なんというか、日本にはこういう筋が通った話をうまく加工して提供してくれる書き手が少ないなあ、と思いました。

  2. この本のタイトルの邦題『ヤバい経済学』のネーミングセンスはすごいですよね。本の内容と幾分も違わないという。
    日本でこういう話題を誰かが言うと、文脈無視でその一文だけ引用されて報道されて、釈明しないと収拾つかないようになってしまうという絵がなんだか見えてしまいます。

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