『グランズウェル』を読みました。といっても6月初旬には読み終えていて(読み終えるのにもかなり時間がかかりましたが)、それから書こう書こうと思いつつ、うまくまとめられずに今日に至っています。なので、うまくまとめられていないまま書きます。とりえあず吐き出すことは大事。
一昔前まで「Web2.0」という括りで捉えられていたWebサービス、ブログやSNSやソーシャルブックマーク、YouTube、その他様々なコミュニティ、フィードが絡んだサービス、それらが日常世界に影響を与えはじめている現象を「グランズウェル(おおきなうねり)」と筆者は呼び、企業がそれらに対してどう接し、どう取り組んでいくべきかが書かれた本。結構読み応えがあるし、「さらっと読める」なんてそう簡単に言える本ではないです。
偉そうな言い方に聞こえるかもしれませんが、個人的には目から鱗の大きな発見はありませんでした。でも、とても大切なことが書かれています。
「傾聴」、そして「グランズウェルに飛び込むこと/会話の輪の中に入っていくこと」。
簡単なようでいて、それはなかなかむずかしいことです。担当者が「それは重要だから、やりましょう」と言っても、話が上司に進むにつれ「いやそれは時期尚早だ」「様子を見て」「何かあったらどうするんだ」と止まってしまうような、そういうところ。
「Web2.0」ともてはやされて、一見Webのテクノロジーが進んだようにも見えましたが(いやテクノロジーは大きく進んだと思います)、実際はコミュニケーションはとりやすくなり、良くも悪くもそれは可視化され、「どう会話をしていくか」をちゃんと考えていかなくなってきたのだと思います。それで、これまで会話をしているつもりだった企業が、「いや、その会話はそこでやってはいけない」「そこでの会話は本当ではない」「とにかくうまく取り繕え」とあわてたり、慣れない対応をしていたり、という状況が生まれてきたのではないでしょうか。仕方がないといえばそうですし、叩かれて炎上して勉強していくようなところもあるでしょう。それはもう企業風土にも依りますし、担当者の人間性にも依ってきます。
「目から鱗の大きな発見はなかった」と言ったものの、じゃあ僕が企業のこういった部門の担当者だったら100%うまくやっていけるかと言えばまた話は別で、いろいろ悩みつつ、試行錯誤しつつ、対外的にも社内的にも思うようにいかず、ということが起きているでしょう。そういうことを想像しながら、この本を読みました。
なんというか、3年前に当時の会社の研修にて、僕自身が「傾聴がうまくできていない」と気づかされショックを受けたことを思い出しました。頭ではわかっていても、実際にやるのはまたむずかしいのです。
とまれ、とても良い本です。Webに関わる担当の人間であれば、たとえBtoBの企業であっても学校法人であっても、読んでおくべきです。
以前読んだ『ウェブはバカと暇人のもの』とは一見対極にあるような本ですが、実際は同じ方向を向いている本だとも思います。
グランズウェル – ソーシャルテクノロジーによる企業戦略
シャーリーン・リー、ジョシュ・バーノフ
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