KPIは、サイトの目的、戦略戦術、ゴールにひも付く – サイト改善のサイクル、再考(4)

OGSM マーケティングフレームワーク

このエントリーは、前回の「その指標は信頼できるか?そのKPIは適切か? – サイト改善のサイクル、再考(3)」の続きです。

WebのKPIって、「サイトもリニューアルしたことだし、さて、考えよう」というものではなく、ビジネス(やビジネスにおけるサイト)の目的、戦略や戦術、ゴールにひも付いているはずのものですよ、というお話。いやそもそも、戦略や戦術はあいまいなまま進んでいませんか? そのサイトの目的やゴールって何ですか? その整理はできていますか? というお話。

KPIは、Webサイトが完成してから決めるものではない

前回は、モニタリングしているその数字(KPI)はビジネスとして適切ですか? 取得しているデータは信頼に足る数字ですか?というお話をしました。そこをもう少し掘り下げてみます。

「いやうちも、今回サイトをリニューアルしたことだし、これからKPIとやらを決めるんだよ」というところも、もしかしたらあるかもしれません。

いや、「WebサイトができあがってからKPIを決める」というのは、順序としておそらくおかしいはずです。

KPIは、ビジネスにおけるWebサイトの目的、戦略や戦術、ゴールにひも付くものです。それをどう計測していくかという前提で、また可視化しやすくするために、Webサイトを構築したり、集客の施策を考えていくことになります(すべてそういうわけでもありませんが)。

目的、戦略戦術、ゴール、戦術ごとのターゲット層、見るべき指標としてのKPI、それらがある程度固まってこその、Webサイト構築だったり、集客施策や販促施策の設計になるはずです。


▲「計画」があってこそ、Webサイトは存在し、運用される

ですので、「Webサイトが完成してから、運用が始まってから、KPIを設計する」というのは、取り組みとしては本質的にはおかしくなります。サイトの目的や戦略、ゴールなどは最初になかったのですか?と疑ってしまうことにもなりかねません。

KPIは、サイトの目的、戦略戦術、ゴールにひも付くもの

僕は、ビジネスの要件の整理をする際、「OGSM」というフレームワークをよく利用します。P&Gやジョンソン・エンド・ジョンソンといった欧米の企業で取り組まれている、ビジネスプランニングの考え方です。

OGSM マーケティングフレームワーク

  • Objective (目的)
  • Strategies (戦略)
    • Tactics (戦術)
    • Target Insight (ターゲット・インサイト)
    • Tasks (タスク)
    • Term (期間)
    • Priority (優先度)
  • Measurements (評価)
  • Goals (ゴール)

OGSM – プロジェクトの軸をぶれさせない方法

ビジネスには必ず「目的」があり、目的に沿った「戦略」があって、そしてそれぞれの戦略に「ゴール」があります。それぞれの戦略にひも付く「戦術」(施策と考えていただいて結構です)では、より具体的な「目標値」などもあるでしょう。戦術ごとにターゲット層は異なり、そして目標値やゴールの到達度を測る「評価軸」が必ずあります。

その「評価軸」こそが、KPIになるはずです。ひとまず大きなビジネスの枠としての、KPI。


▲それぞれの戦術ごとのゴールの評価軸がKPI

たとえばビジネスをセクションに分けたり、担当者レベルに落とした際には、戦術もより細分化され、各人がモニタリングするKPIや指標も増えてくるでしょう。

サイトでも同じです。ビジネスにおけるそのサイトの目的は何ですか? 望んでいる状態はどのようなものですか? OGSMといったフレームワークを用いなくても、それらは本来はあるはずです。

改めて、サイトの目的、戦略戦術、ゴールの整理を

「KPIってこれまであまりしっかりと考えてこなかった」というのであれば、サイトの目的やゴール、戦略戦術が曖昧になっている可能性が大いにあります。どのような形でもよいと思います。改めてそれらを整理し、見るべき指標(KPI)を確認し、それをモニタリングする体制作り、担当や役割を見直していきましょうよ。

KPIも「生もの」ですから、変革時期や定期的な見直しも必要ですしね。

続きます。今回のお話も、「サイト」「アクセス解析」という枠に収めずに考えていただいても構いません。