このエントリーは、前回の「サイト改善のサイクル、再考」の続きです。
「アクセス解析」と言っても、「現状把握」と「分析」、「KPI設計」などはそれぞれ取り組んでいる領域が全然違うよ、というお話。
「とりあえずアクセス解析やってください」というオーダーをいただくことがあります。こちらとしては警戒心を伴って身構えるオーダーなのですが、「アクセス解析すればなんでもわかる」と過剰な期待と希望をもって声をかけて来ている印象があります。
いやいやそんなことはありません、「はい、アクセス解析です」とお皿を出すような感じで何かが出てくることはありません。戦略も戦術もゴールもシナリオも何もいただけないかぎりは。
「アクセス解析」って何でしょうか。
アクセス解析とは、計測し、蓄積し、分析し、把握すること
「アクセス解析」って何でしょうか。安直に、Wikipediaの定義を引用してみます。
※「アクセス解析」を、英語の「Web Analytics」の日本語訳として話を進めます。
Web analytics is the measurement, collection, analysis and reporting of internet data for purposes of understanding and optimizing web usage.
「Webがどのように利用されているかを理解し最適な状態にするために、インターネットデータを計測し、蓄積し、分析し、把握すること」
- 計測 measurement
- 蓄積 collection
- 分析 analysis
- 把握 reporting
ですよ、と。基本的に同意します。「インターネットデータ」にとどまる必要もないと思いますが、つまりいくつかの側面があるということです。
前回提示した、「Webビジネスの改善サイクル」とつきあわせてみます。
- 計測 measurement…KPI設計、解析ツール導入+設定
- 蓄積 collection…解析ツール導入+設定
- 分析 analysis…課題想定、課題発見
- 把握 reporting…モニタリング、効果分析
無理矢理つきあわせた部分もありますが、それぞれの側面で取り組みがあるということ。
もう少し大きなくくりで見るとしたらこのような図になります。
さて、「アクセス解析にはいくつかの側面があって、それぞれにおいて取り組みがある」というのはそのとおりなのですが、重要なのはその次です。
「把握 (Reporting)」なしに「分析 (Analysis)」はないし、「計画 (Plan)」なしに「把握 (Reporting)」もない、ということです。
把握なしに分析はないし、計画なしに把握もない
「とりあえずアクセス解析」とざっくり言うのではなく、いま自分たちのビジネスにおいて必要なものや取り組んでいなかったものは、「現状把握」なのか、それを踏まえての「課題発見の分析」なのか、それ以前の「計画」の話なのか。
現状把握にはKPIと呼ばれる「モニタリングすべき指標」が必要ですし、KPI云々を持ち出すにはそもそもビジネスにおけるサイトの目的や戦略戦術、それぞれのゴール(目標値)、ターゲットなどの「Plan(計画)」が必要。それはマーケティングとして。ビジネスとして。
いやそもそも、アクセス解析ツールや各種ツールでそれらKPIは取り出せる状態ですか? ツールは「ざる」や「ゴミ混じり」ではなく適切に導入設定はされていますか? コンバージョンは設定されていますか? アクションは計測蓄積されていますか?
ビジネスにおけるサイトの位置づけは、どのようなものでしょうか。
「サイトの改善」は「目指すべき場所」「想定していること」に至らせるためのものですから、目指す場所が曖昧だったりなかったりすると、どう改善していいのかがそもそもわかりません。
続きます。
今回のお話も、「サイト」「アクセス解析」という枠に限らず、広告や集客の領域などに置き換えていただいても構いません。
続き。
その指標は信頼できるか?そのKPIは適切か? – サイト改善のサイクル、再考(3)
- サイト改善のサイクル、再考(1)
- 「とりあえずアクセス解析」のアクセス解析って何? – サイト改善のサイクル、再考(2)
- その指標は信頼できるか?そのKPIは適切か? – サイト改善のサイクル、再考(3)
- KPIは、サイトの目的、戦略戦術、ゴールにひも付く – サイト改善のサイクル、再考(4)