このエントリーは、前回の「とりあえずアクセス解析」のアクセス解析って何? – サイト改善のサイクル、再考(2)」の続きです。
「分析」は、本来はそれまでのKPIのモニタリングやデータの信頼性などを踏まえた上での取り組みであるべきではないか、というお話。ひいては、モニタリングしているその数字(KPI)は適切ですか? 取得しているデータは信頼に足る数字ですか? というお話。
分析とは、ゴールに向かうために現状を改善するべく、潜んでいる課題を発見する取り組み
「分析」は、プロジェクトの「ゴールや目標」や「目指すべき場所」に向かうために現状を「改善」するべく、潜んでいる「課題を発見」するために取り組むものだと考えます。そこには「仮説」が必要です。
▲分析は、課題発見の取り組み
普段の「モニタリング」でKPIが芳しくないものの、課題がはっきりしている場合は、「分析」はさほど必要でなかったりします。「集客がそもそも足りていない」「ランディングページとしてのアピールが弱すぎる」「コンバージョンへの動線が弱い」など、課題が明確で、「仮説」をたてるまでもないというケースです。もちろん、それを裏付けるデータは必要となります。
これらの基盤となっているものは、モニタリングしているKPIです。指標であり、数字です。
取得しているKPIは信頼に足る数字ですか? そもそも、そのKPIはビジネスとして適切ですか?
一方で、普段のモニタリングで見ている数字(KPI)は信頼に足る数字でしょうか。つまり、アクセス解析ツールをはじめとした各種ツールは適切に実装され、適切な設定がされているでしょうか。「ゴミだらけの状態」もしくは「ザルの状態」ではないですか?
さらに突っ込んで言えば、現状把握としてモニタリングしているそのKPIは、御社のビジネスとしてふさわしいものでしょうか。業績の状態を把握するのに、その指標で適切でしょうか。
▲KPI設計から分析、改善までの流れ(クリックで拡大します)
KPI設計から分析、改善までの流れを、順にたどっていきます。
- サイトの目標の設定
その目標は正しいか - 戦略やそれにひも付く戦術の設計
その戦略や戦術は適切か - KPI設計
そのKPIは適切か - 各種ツールの実装と設定
その実装や設定は適切か - サイト運用、集客施策実施
- KPIのモニタリング
その視点は正しいか - 仮説立て
その仮説は適切か(正しい仮説などない。いくらでもやり直しがきくのだ) - 分析
その分析方法は正しいか - 課題発見
その課題は正しいか - 改善案立案
その施策は正しいか(改善案が明確なケースはよほどだろう。試行錯誤を) - 改善案試行
その方法は適切か - 効果分析
その分析は正しいか - 全体に適用
その判断は正しいか
まどろっこしく書いているだけなのかもしれません。しかし、分析をする上で、基盤としているKPIや数字は信頼に足るものなのかどうか、はたまたそのKPIはビジネスとして適切なのかどうかは、根底が覆されるかどうかのレベルの話です。
「分析」の前に、確認しておくべきこと、取り組んでおくべきこと
- アクセス解析ツールなど各種ツールは適切に実装され、適切な設定がされているでしょうか。「ゴミだらけの状態」もしくは「ザルの状態」ではないですか? コンバージョンや計測すべきユーザーのアクションは取得できていますか? 関係者のアクセス除去や不要なデータ除去はある程度できていますか?
- モニタリングしているKPIは、御社のビジネスとしてふさわしいものですか? 「ページビュー数を見ている」とおっしゃいますが、はたして本当にそれでいいのですか?
続きます。戦略や戦術はあいまいなまま進んでいませんか、はたまたサイトのゴール、そもそもWebサイトの目的って何ですか?というお話の予定です。
今回のお話も、「サイト」「アクセス解析」という枠に収めずに考えていただいても構いません。
続き。
KPIは、サイトの目的、戦略戦術、ゴールにひも付く – サイト改善のサイクル、再考(4)
- サイト改善のサイクル、再考(1)
- 「とりあえずアクセス解析」のアクセス解析って何? – サイト改善のサイクル、再考(2)
- その指標は信頼できるか?そのKPIは適切か? – サイト改善のサイクル、再考(3)
- KPIは、サイトの目的、戦略戦術、ゴールにひも付く – サイト改善のサイクル、再考(4)