「たらこキューピー」のCMソングのCD、キグルミによる「たらこ・たらこ・たらこ」が、オリコンのシングルチャートで初登場第2位だそうです(正確には「たらこキユーピー」ですね)。もう2年ほど前から話題の、奇妙でポップで衝撃的なCMですが、CMソングのCD化のニュース以降、一気にブログなどで話題になりました。
これは「キューピー たらこ」のYahoo!ブログ検索の結果です。ちょうど2006年7月4日頃にCMソングCD化のニュースが報じられ、一気にブログで取り上げられている様子がわかります。
ちょうど先日報告された、Web広告研究会によるフォーラムの「Web2.0時代のCGMについて」というセッションでの、カレンの四家氏が語ったという言葉が思い出されます。口コミ・マーケティングが現実化した事例として「男前豆腐店」と「涼宮ハルヒの憂鬱」を挙げて、共通点をこう述べています。
2つの共通点は「品質の高さ」と「(他人に語れるような)ネタの濃さ」にあるとし、「最も重要なのは商品そのものである」と強調する。
「男前豆腐店」と「涼宮ハルヒの憂鬱」は商品そのもので、「たらこキユーピー」は商品から派生したキャラクターですが(結果的に今はCDやグッズもあるので商品なんですが)、「品質の高さ」と「ネタの濃さ」では同等ですね。非常にクオリティが高く、また強烈なインパクトを持っています。そして、購買行動に至るまでに、一気にブログなど口コミで広まったという点も面白いです。
「Web2.0時代の消費者の購買行動プロセス」と言われるAISAS、もしくはAISCEASの法則と呼ばれるものがありますが、AISASや AISCEASの一番最後の「S (share)」に焦点を当ててみると、その「S」の前段階には、「E (enthusiasm)」や「S (satisfaction)」といった要素が必要なのではないかと思います。別に「たらこキユーピー」や「男前豆腐店」ほど大きな話題を引き起こさなくとも、何かしらのアクションを誘発させる仕組みはできるのではないかと思います。
もちろん、「商品の品質」は必須で「ネタの濃さ」もあるに越したことはないのですが、「ブログに取り上げるのを手助けする」ことは仕組みとしては可能です。SMO (Social Media Optimization) の話とつながりますが、こまめに丁寧に枠組みを作っておき、口コミの小さなマグマを温めてあげることは、口コミ・マーケティングにおいては大切なことだと思います。「たらこキユーピー」も、 2年前にはこのようなスペシャル・サイトはありませんでしたが、ちゃんとCMの動画サンプルはキユーピーのサイトで公開され、小さなマグマを温める役割を果たしていました。今回大きく話題になったきっかけは確かにマスメディアの力ですが、その土壌はしっかり準備されていたと思います。
それにしても、このCMソング「たらこ・たらこ・たらこ」、2年前に初めて聴いてから耳から離れませんね。コンビニでこの曲がかかったときは思わず声を上げてしまいました。