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『風に吹かれて豆腐屋ジョニー 実録男前豆腐店ストーリー』はロケンローなマーケティングの本でした

男前豆腐店の社長、伊藤信吾さんによる『風に吹かれて豆腐屋ジョニー 実録男前豆腐店ストーリー』を読みました。この本が店頭に平積みされたときは「宣伝本?」と勝手に思い込んで見向きもしなかったのですが、「かなり面白い」という噂をブログ界で目にしていそいそと買いました。ものすごく面白い本でした。下手なブログ・マーケティングの解説本を買うよりも有益かもしれません。

本の端々に刺激的な言葉が並びます。もうビジバシ伝わってきます。男前豆腐店の豆腐の味もパッケージデザインもその売り方も、何から何まで伊藤社長の突っ走りロケンローぶりに依るのですが、その心にはしっかりとした芯があります。ブレてない。当時の豆腐屋さんとしては異端なんだろうけれども、伊藤さんには伊藤さんの確固とした軸があって、それは案外正しかった、そんな感じなんだろうと思います。

巨大な食品企業なら宣伝におカネをかけますが、うちはまったく宣伝してないし。お客さんが口コミで広めて、マスコミが面白がって紹介してくれたおかげです。お客さんとマスコミが騒いで流通をはさみ込んだような形。非常にイレギュラーな現象だといえます。僕としては、そこが面白いと思っている。

『風に吹かれて豆腐屋ジョニー 実録男前豆腐店ストーリー』P77より

ブログ時代になってものの売れ方が劇的に変わったと思いますね。一人のお客さんが商品に惚れ込んで日記に書いたりすると、そこから一気に広がっていく。浸透時間が圧倒的に短くなってきている。ブログの登場以前と比べると、口コミが広がる早さが全然違う。
だから、だいぶ前から僕はネットをしょっちゅうチェックしていて、「うちの会社や商品名がいつ出てくるんだろう?」と、ガンガン検索かけてたんですよ。ジョニーを出した翌年あたりからヒット数が急増していくのを実感しました。
まわりの人間に理解されなくて、それでもジョニーみたいな商品を出したいと悩んでるようなとき、お客さんの声がどれだけ頼りになるか。迷いが消えるわけです。僕のひとりよがりは、ブログに支えられている面がある。

同書 P91より

かなり早い段階からブログをはじめとした口コミのCGM(Consumer Generated Media)の力に気づき、その可能性を信じていたのでしょう。「CGMを利用した」というよりも「CGMを信じて」その流れに期待した、という方が適切かもしれません。伊藤さんの感覚を皆に問うた、といった感じに。

ものを作って、お客さんが何かを感じて買っていって、食べて「うまい!」といってくれる。そこまでふくめての循環がデザインになっていると思ってるんです。だから、お客さんがどういう部分に惹かれて買い、どうやって食べてるかなんてことが、ものすごく気になる。

同書 P62より

いまや100円ショップへ行けば、なんでも100円で買える。中国で大量生産した安いのが。それと競争していくには、ものの背景に世界観がなきゃいけないと思うんです。それがなきゃ、ものは売れない時代だと思う。
(中略)豆腐だってストーリーが欲しい。ただ、僕はどんな大豆やにがりを使っているとかいうのは、あんまり宣伝しようとは思わない。むしろ「俺たちはこういうのが格好いいと思ってんだぜ!」という世界観の方を発信していきたい。

同書 P180より

「俺たちはこういうのが格好いいと思ってんだぜ!」というところは彼の価値観で、そこはいろいろあっていいとは思いますが、ものの背景にストーリーや世界観が必要で、それを伝えていかなければいけないという点には激しく同意します。いまはそれをブログやWebで比較的容易にできる環境になっていますし、消費者のAttentionからIntention、そしてAction、さらにShareまで、トータルに考えなければマーケティングとして成り立たないと思います。

企業がBlog で伝えるべき情報としてはもっと重要で、しかもどの企業にも等しく存在するものがあるんですよ。

それは、「物語」。

伝えるべきは物語 | WWW WATCH

そう、物語。それぞれの企業のそれぞれのサービスや商品にあるはずのストーリを語りましょうよ。ブログという有効なツールが今はあります。そして僕たちはストーリーを語るのをお手伝いすることができます。

男前豆腐店に関しては、食品という訴求力がありしかもわかりやすいという特徴をもった商材だったために、あそこまで大きく話題になったのではないでしょうか。見かけやデザインや展開の普通じゃなさと、納得させるには十分すぎる味の、その大きなギャップ。CGMを席巻するには条件は揃っていたと思います。

この本から例えば企業のWeb担当者が得られるものといえば、運営者側の姿勢やCGMの捉え方でしょうか。参考になるところは多いと思います。

さて、記録によれば、僕が最初に男前豆腐店の豆腐を食べたのは2006年の3月13日。食べたのは「厚揚げ番長」。その次に食べたのが3月18日の「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」。この2ヶ月ぐらい前?に、相方さんが「男前豆腐店って知ってる?」という情報(噂)を仕入れてきて、食べてみたいねーと言っていたところ、近くにのスーパー「サカエ」で発見。高めの値段に少しひるみ、その後しばらく経ってから百貨店か「サカエ」で購入した、と記憶してます。味は、もう別物ですね。特に「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」が。甘くて素敵でした。高くてあんまり買えないんですけどね。

それはそうと、「気持ち悪いんだけど、ギリギリのところで格好いい場所に踏み止まってるようなもの」をカッコイイとする伊藤さんと、paperboy社の家入社長には、何か同じ匂いを感じますが、どうでしょうか。どちらともお会いしたことはないのですが。

そう、このエントリーのタイトルはAmazonの同書の四家氏のカスタマーレビューのタイトルと同じなのですが、それ以外に表現できませんでした。本当にロケンローなマーケティングの本です。ちょっと興奮してます。

男前豆腐店

いちしま泰樹

いちしま泰樹

株式会社真摯 代表取締役、Webマーケティング・コンサルタント。マーケティング視点とデータの根拠を軸としたWebビジネスの改善を支援しています。本名、市嶋泰樹。

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Cinci

株式会社真摯

お客様と真摯に向き合い、伴走するコンサルティング会社。マーケティング視点(Marketing)とデータの根拠(Analytics)を元に、Webサイトの改善と集客施策の改善、ビジネスプロセスの改善の3つを支援します。

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