AISESEES – CGMでの口コミを軸とした消費者の購買行動モデル

「AISESEES」という、CGM (Consumer Generated Media)での口コミを軸とした消費者の購買行動モデルを考えてみました。

Web2.0 時代というよりもインターネット・ビジネス(eコマース)が活発になった頃から、消費者の購買プロセスは AIDMA から AISAS、AISCEAS へと移ってきたとされています。特にその中でキーとなるのは、AIDMA にはなかった要素「Search(検索)」と「Share(情報共有)」ですが、どうも最近の様子を見ていると「Action(購入)」に至るまでに「Share(情報共有)」が始まっていることが多いように思います。

そこで、AISESEES というモデルを考えてみました。

Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)
→ Enthusiasm(熱中)→ Share(情報共有)→ Experience(購入・体験)
→ Enthusiasm(熱中)→ Share(情報共有)

購入や体験に至る前に、一度「こんなのあるらしいよ!」と情報共有され、購入や体験後にも満足した感想や体験談を共有する、そのような形です。

ここでポイントとなるのは、「Enthusiasm(熱中)」だと考えます。購入や体験の前でも後でも、「おっ!」という要素がなければ、なかなか CGM における「Share(情報共有)」というステップには至らなくなっているのではないでしょうか。アフィリエイトが徐々に市民権を得てきた今では、「単なる小遣い稼ぎのアフィリエイト」レベルでは情報はなかなか伝播せず、口コミ形成までは至らなくなっていますし、「男前豆腐店」「たらこキューピー」の例のように、巻き起こるような「Enthusiasm(熱中)」という要素があって口コミが形成されるのではないでしょうか。

もちろん、巻き起こるような「Enthusiasm(熱中)」なんて、そうそうありません。それでも、期待させたりワクワクさせたりといったフックとなるものが、口コミには必要です。そのフックは小さくても構わないと思いますが、「巻き起こる」レベルであればあるほど、いわゆる「キャズム(溝)」を越えやすいのではないでしょうか。

アップルは通常の企業が行うような「プレスリリースによる新商品の紹介」は最近はほとんどしていない。そういった従来型のマーケティング手法ではブロガーたちの心をつかむことができないことを、アップルのマーケティング部門の人たちは十分に理解しているのだ。

そこで彼らは、年に3~4回だけアップルが開催するプライベート・イベントで、スティーブ・ジョブズ自らが新商品をまとめてアナウンスする、という手法を意図的に採用しているのだ。

そうすることにより、「今度は何が発表されるのだろう」いうブロガーたちの気持ちをあおりにあおるのである。

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ここまで注目を集められる企業というのもあまりありませんが、中島氏がCNETの方に書かれているように、例えば講演内容をネットで公開しておくといった、ブロガーに書いてもらえるような環境をきちんと準備しておくことは、社内調整は多々あるにしろ物理的にはどの企業にも可能だと思います。こうした小さなことの積み重ねが、「Enthusiasm(熱中)」につながっていくのだと思います。

参考までに、AIDMA、AISAS、AISCEAS、AIDEES のモデルを挙げておきます。

AIDEES に関しては、@niftyのBuzzPulseの図解を参照。

この「AISESEES」という購買行動モデルが必ずしも一般的に妥当だというわけではなく、基本的には AISAS の亜流のひとつです。また、あくまでこれは概念であり、ここから具体的な施策へ落とし込まなければ意味がないことも付け加えておきます。アイデアの一つとして。

2007/05/30追記。AISCEASって「アイセアス」って読むようですね。提唱者ご本人はそう書いてらっしゃいます。でも、「アイシーズ」と呼んでいる人も多いです。