日本での「インスタグラム」の検索数が、「Instagram」の検索数を上回ったかもしれません。Googleトレンドによれば、カタカナ表記「インスタグラム」の検索数が英語表記「Instagram」のそれを2014年1月に追い抜き、2014年5月時点でさらに大きく差を広げています。
Googleトレンドで、「インスタグラム」の検索トレンドが「Instagram」のそれを逆転
Google トレンド – ウェブ検索の人気度: instagram, インスタグラム – 日本, 2010/9 – 2014/5
上のグラフは、Googleトレンドでの「Instagram」と「インスタグラム」の2010年9月から2014年5月までの検索傾向です。アルファベット表記の「Instagram」の方が長く検索数で上回っていましたが、2013年10月頃にカタカナ表記「インスタグラム」と僅差になり、2014年1月に「インスタグラム」が追い抜きました。2014年5月にかけて、カタカナ表記「インスタグラム」がさらに大きく伸びて、差を広げています。
はて、今年1月に何かトピックスってありましたっけ?(ちなみに、2012年4月の山はFacebookによるInstagram買収のニュースによるもの)
Google AdWordsのキーワードプランナーでの状況は以下のとおり。
▲アルファベット表記「Instagram」。2014年4月のGoogle検索数は165,000回。増加傾向ではあるものの、この2年間で約2倍の伸び
▲カタカナ表記「インスタグラム」。2014年4月のGoogle検索数は301,000回。大きく伸びていることがわかる。Googleトレンドとほぼ同じ傾向を示している
AdWordsのキーワードプランナーでも、2014年1月頃にカタカナ表記「インスタグラム」が英語表記「Instagram」を検索数で追い抜いています。
アプリのダウンロードランキングの推移でも、2014年頃から再び上昇
Instagramは、TwitterやFacebookなどと違い、アプリ利用が前提のWebサービスです(ブラウザーから投稿はできません)。ですので、Instagramアプリのダウンロードランキングの推移も見てみます。
▲日本のApp Storeでの、Instagram(iPhoneアプリ)のダウンロードランキング推移。2014年に入って再び上昇し、「写真/ビデオ」カテゴリーでも10位以内を維持、全体でも100位以内に入るようになってきている(App Annieより)
▲日本のGoogle Playでの、Instagram(Androidアプリ)のダウンロードランキング推移。「ソーシャルネットワーク」カテゴリーでは2013年中旬から10位以内を維持していたが、全体でも2014年から少しずつ盛り返しており、100位以内を維持(App Annieより)
なんと言いますか、数年以上にわたってランキングを維持しているというのは、すでに定番のアプリとして定着しているということになるかと思います。裏を返せば、その地位を奪う対抗馬が登場していないということですが。
一定数存在する「写真投稿アプリのみの利用」と、その一方で活発なコミュニケーションもあり
改めて、Instagramの特徴を整理してみます。
インスタグラムの特徴
- 写真の投稿はスマートフォンアプリ経由のみ。ブラウザーやPCからの投稿はできない(コメントはブラウザーから可能)
- 連携することでTwitterやFacebookなどに投稿できるため、「写真投稿アプリ」としてのみ利用し、コミュニティ(SNS)としては利用しないユーザーがいる。この感じはFlickrと少し似ている
- 一方で、Instagramのみでのコミュニティも確実に存在する。ハッシュタグから嗜好性でつながったユーザー間で活発なコミュニケーションもあり
- 「写真」が軸のため、フォローや「いいね!」における言語の壁は低く、海外からのリアクションも多い
- 投稿後の編集はできない。ハッシュタグの追加はコメント欄から
- 投稿時にURLを含めても、Instagramアプリからはリンクされない(文字列のみ)。TwitterやFacebookにも同時投稿した場合は、そちらでは有効なリンクになる
- 一部の利用ユーザー間でInstagramは「IG」と略され、Instagramユーザーのことは「IGer」と称するらしい
企業としての利用はどうなの?
ここから先は、企業としての利用について少し考えてみます。
Instagramの日本企業の活用事例は、TwitterやFacebook、LINEなどと比べると、とても少ないです。事例に関しては、検索していただければまとめているブログ記事などがありますので省略しますが、写真を媒体とする特性上、ブランドを意識した発信、ユーザーに投稿を募集してコンテンツ利用するもの、それらをきっかけに実店舗への来店につなげるものなどが中心です。
欧米では、公式アカウントとして利用している企業をまだ比較的見かける印象があります。アジア新興国でも、公式アカウントとしてTwitterやFacebookと並んで、あるいはそれより優先して活用されていると耳にしたことがあります(タイなどでしょうか)。
日本での活用に関して、カテゴリーとしては異なるのですが、ピンボードをモチーフとした画像の共有サービス「Pinterest(ピンタレスト)」とInstagramの間で、ビジネスアカウント利用として取捨選択になっているのかもしれません。
例えば、日本コカ・コーラは多くのソーシャルメディアアカウントを有しており、Pinterestの公式アカウントはあるのですが、Instagramのアカウントはありません。Pinterestに出資している楽天も、Pinterest公式アカウントを持ち、ユーザにも利用を促していますが、Instagramのアカウントはありません(これはまあ、Pinterestはウィッシュリスト代わりなどで購買につながりますからね)。
アジャイルメディア・ネットワークが運用する、企業のソーシャルメディア活用度ランキング「Brand Chart」でも、Pinterestは集計対象に入っていますが、Instagramは対象外です(2012年から更新止まっている?)。
Instagramアプリでは投稿時にURLがリンクせず、サイトなどに誘導がむずかしいため、Instagramで世界観を作り、ブランドを想起、醸成させるか、ユーザーとの(からの)コミュニケーションにつなげるか、といった活用やキャンペーンを考えなければいけません。
使えばいい、といったものではありませんが。
まとめと余談
ということで、日本での「インスタグラム」の検索数が「Instagram」の検索数を上回ったことから派生して、いろいろ調べつつ、思うところを書いてみました。
Instagramの写真は公式に埋め込みの機能を持っています。アプリ主体のサービスですが、この埋め込み機能はPCのブラウザからのみ利用できる機能です(コピー&ペーストできるという意味で)。
Instagramに対する印象としては、サービスの外に向けた機能や取り組みが少しわかりにくい/使いにくい/不便な感じがします。また個人としても、それなりに利用しているつもりだったのですが、まだ100程度しか投稿していなかったりで、そんなり利用していなかったっけ?という感じです。
ただ、ユーザーが投稿した写真そのものは、特にFacebookなどで多く目にします(Facebookによる買収に伴い、Twitterのタイムラインでの写真表示は途中で終了してしまいましたが)。フィルタが掛けられたInstagram的な写真は、多くは一目で「それ」とわかります。そういうところまで普及をしながらも、まだどこか隠れた存在(文化)でいようとしている、そんな感じに受け取ったりもします。
追記。2014年12月に、この後の状況を記事にまとめました。