企業のスタッフブログには、いまだに行動喚起の要素(CTA: Call to Action)がないものが多いように感じます。
行動喚起の要素(CTA: Call to Action)とは、お問い合わせ先だったり、電話番号だったり、企業名や店舗名(とそのリンク)だったり、そのページで紹介している商品やサービスへのリンクなどです。
そのブログのコンテンツをユーザーに読んでもらって、その後どうしてほしいのか、そういった「シナリオ」がまったく考慮されていないブログが非常に多いです。いまだに。
企業側が発信するコンテンツの重要性が増す中、組織のメンバーも「最終的には売り上げや利益に貢献するはず」と信じて、業務としてブログを書いているわけです。ブログに行動喚起の要素がなければ、そういった努力が徒労に終わってしまいかねません。
ブログを読んだ後、どうしてほしいのか
一例を紹介します。当てずっぽうで見つけてきたブログですので、勝手に紹介してごめんなさいなのですが、日本旅行の搭乗員ブログです。
更新頻度はそれほど高くないですが、日本旅行の添乗員だからこその情報発信をなんとかがんばっているように見受けられます。きっと忙しい中、持ち回りで更新しているのだと思います。
ただ残念なことに、「日本旅行のヨーロッパプラザのサイト」「日本旅行のサイト」に非常に行きにくいのです。
▲ヨーロッパプラザのサイトへは、ヘッダー下のテキストリンクのみ
ヘッダー画像の下にごく控えめに存在しているテキストリンクでしか、ヨーロッパプラザや日本旅行のサイトに行くことができません。ヘッダーのロゴにもリンクがはられていません。「ビジネスブログ」がもてはやされた時期に作られたままの状態だろうと推測します。
残念ながらこのブログは、「ブログを読んだ後、どうしてほしいのか」というシナリオがほとんど考えられていません。ブログが「ブログという体裁でぽつんと存在しているだけ」だからです。検索エンジンからたまたま訪問したユーザーは、このブログ記事を読んでも、ほとんどがそのまま離脱してしまうことになります。
どうすればよいのでしょうか。
とりあえずの勝手な改善案
- 日本旅行やヨーロッパプラザのロゴにリンクをはる
- 右側のサイドバーにバナーを設けてヨーロッパプラザのサイトに誘導する
- あるいはエントリー記事の下部に、ヨーロッパプラザのサイトのバナーやテキストリンクなどを挿入する
- 可能であればヨーロッパプラザのサイトのグローバルナビゲーションをブログにも同様に設ける
欲を言えば、実店舗が国内に7つあるわけですから、その7店舗の場所や電話番号などが少しでも提示してあれば、「ヨーロッパ旅行を検討している人に来店を喚起」させることができます。
ブログ1記事だけでいきなり「ヨーロッパ旅行に行きたい」と思う人はまれです。しかし、その動線を物理的に設けておくことは最低限必要なことです。
日本旅行であれば認知度がそもそも高いので、こういうことをしなくてもブランド想起で来店につながるかもしれません。しかし、すべての企業がそういうわけではありません。
行動喚起のヒント
この例えは旅行会社でしたが、他にどのようなものが考えられるでしょうか。
- バナーなどでの本体サイトへの確実なリンクを
- できるだけ本体サイトと同じグローバルナビゲーションを
- お問い合わせなどへのリンクを
- 実店舗への誘導が目的であれば、店舗名、住所、電話番号の掲載を
- そのページで紹介している商品やサービスへのリンクを
- TwitterやFacebook「いいね」などへのアクションを
- メールなどのフィードバックのアクションを
- ブランド名やサイト名を覚えてもらい、再訪問を
- 写真の力はやっぱり大きいです
- 行動喚起の要素はできるだけ目立つように、そして視線の動きの先へ
- いまどきトラックバックなんて誰もしないですよ
特にブログのエントリー記事は、写真や本文そのものがコンテンツです。ちゃんと読まれるとすれば、視線はコンテンツ部分の上から下へと動きます。お問い合わせへのリンク、商品やサービスへのリンク、店舗名や電話番号といった行動喚起の要素(CTA)は、一般的にはその視線の動きの先、コンテンツの中や下部にあると効果的です。
▲行動喚起の要素(CTA)は、視線の動きの先、コンテンツの下部へ
アメブロやFC2、はてなといったASPのブログサービスを利用してスタッフブログをやっている場合、本体サイトと同じナビゲーションの組み込みなどはむずかしくなります。その場合は、ブログの本文の最後に必ず店舗の紹介を入れたり、せめてサイドバーにバナーを挿入したりするとよいです。
企業側のブログを更新する人にこれを100%強いるのはむずかしいので、ブログのデザインに最初から組み込んだり、管理画面での更新の負荷を機能で軽減するといったことを、ぜひ制作会社さんにはお願いしたいところです。
シナリオに沿った動線の確保を
とてもあたりまえの話なので、いまさら何を言ってるんだと思う人もいるはずです。街のショップだけでなく、著名な企業でも悲しい状況になっているのを目にすることが多いので、書いてみました。
「コンテンツマーケティング」「インバウンドマーケティング」という言葉に乗せられて徒労に終わらないために、シナリオに沿った動線の確保を。