「木を見て森を見ず」ではいけない

「木を見て森を見ず」になってはいけません。最近は、「木」どころか「木の葉」の詳細まですぐに見ることができてしまいます。「葉」だけでいくら「最適化」を叫んでも、うまくいって部分の最適化まででしょうか。全体の最適化には至りません。

「木の葉」ばかり見ていても駄目

Webマーケティングの領域に限ったことではないと思いますが、この領域だけでみても、「アクセス解析ツール」「広告管理ツール」「広告効果測定ツール」「検索エンジンのWebマスターツール」「SEOの順位チェックツール」「インターネット視聴率」「LPOツール」「EFOツール」「TwitterやFacebookのモニタリングツール」、and so on、と様々なツールがあり、それぞれでまた細かな数字がすぐに見ることができます(「15種類のWeb分析」も参照のこと)。

それぞれのツールの細かな数字を見て、なんだかわかったような気になるものです。「CPCやCPAが」「直帰率が」「CVRが」「平均滞在時間が」「フォームの離脱が」「今日順位上がった♪」などなど。

そして、その周辺の数字だけで判断をしてしまいがちなのです。「直帰率を下げなければいけない」「このキーワードのCPAが高い」「順位下がったぞ」などなど。

でも、仮にその周辺の数字が「改善」されたとして、でもビジネス全体ではほとんど「改善」しなかったりします。「直帰率が下がっても売上増えないぞ」「CPA下がったけど、コンバージョン数減ったぞ」「順位上がったけど、なんかいいことあった?」と。

「葉」ばかり見ていても駄目なのです。いや、別に見てもよいのですが、その木の葉が「枝」や「木」や「区画」や「森」全体においてどういう位置づけなのか、役割を持っているのか、それをちゃんと把握しないといけないのです。

「この葉の色が悪いんです!」。いいじゃないですか、その木が青々と茂っているのなら葉の1枚や2枚。それよりも、幹が虫に食われている他の区画の木々をなんとかした方がいいんじゃないですか。

それでもなぜかみなさん、「葉」を見たがるのです。

もっと「森」や「区画」や「木」も把握した方がいいですよ。

「森」を改善するために、何をすればよいのか、そこからたどって「葉」はどういう状態であればいいのか

Webマーケティングの領域は、必然なのかもしれませんが、取り組みというか役割というか施策がものすごく細分化してしまっているように思えます。もちろん、大きな企業でも組織を横断的にまとめているところもあるでしょうし、小さな組織だとそれこそ全部まとめて担当者1人というところもあるでしょう。細分化しているからこそ、小さなテスティングや改善のサイクルが回しやすいというのもあります。

それでも、「この葉に対する取り組みが、木や森全体にどのような影響を与えるのか」という視点、ひいては「森や木の状態がもっとよくなるために、どういうことをしなければいけなくて、そこからたどってこの葉はどういう状態になればいいのか」、という視点は必要です。

僕はWeb解析の領域でご担当者さんが「葉」ばかりを見ているような状況に出くわしたりしますが、企業内においても、ソリューションを提供している代理店でも、よくある状況ではないかなと思います。「部署」という、それこそ「枝」のような単位で組織が分かれていたりもするので、むずかしい部分もあるのですが、「全体を意識する」ことは、どの仕事をしていても重要なことだと思っています。

大事なのは、ビジネス全体として良い状態にしていくことです。