Webサイトのアクセス解析で、押さえておくべき26の指標 – WAA Standards Analytics Definitions

2011年1月23日追記。私も策定に協力しておりますが、2010年7月にアクセス解析イニシアチブが用語定義のガイドラインを発表しております。

アクセス解析の集計と用語定義ガイドライン第2版を発表 アクセス解析イニシアチブ

ですので、下記内容は間違いではありませんが、やはり情報が少し古くなっているということもあり、今後はアクセス解析イニシアチブ発表のガイドラインををご参照ください。追記終わり。

Web Analytics Association (WAA) は8/23、アメリカのサンノゼで行われたカンファレンス Search Engine Strategies にて、新しい26のWeb解析指標 (WAA Standards Analytics Definitions) を発表しました。

これまで一般に使われてきた「PageViews」「Visits/Sessoins」「Visitors」に加えて、23の新しい解析指標を追加しています。アクセスログ解析のこれからの標準的な指標として、押さえておくべきものでしょう。

ここではざっと、この26の指標について拙訳ながら翻訳しておきます。

Web Analytics Association (WAA)
Standards Analytics Definitions

Japanese Edition translated by Yasuki Ichishima.

Building Block Terms (基本要素)

  • Page (ページ)
    ページとは、解析可能な単位のこと。
  • Page Views (ページビュー、PV)
    ページビューとは、ページが閲覧された回数のこと。
  • Visits/Sessions (訪問数[訪問者数]、セッション)
    訪問数(訪問者数)/セッションとは、1ページ以上閲覧した1人による訪問のこと。最初のアクセスから一定時間内に他の行動を起こさなかった場合、その訪問セッションは終了となる。
  • Unique Visitors (ユニークユーザー)
    ユニークユーザーとは、決まった時間内に1度以上サイトへ訪問した人数のこと。検索エンジンのロボットなどを除く。そのレポートの期間内では、そのユニークユーザーの基準において「その人」は1度しかカウントされない。
  • New Visitor (新規ユーザー、新規セッション)
    新規ユーザーとは、そのレポートの期間内にそのサイトに初めて訪問したユニークユーザーの数のこと。
  • Repeat Visitor (リピートユーザー、リピートセッション)
    リピートユーザーとは、そのレポートの期間内にそのサイトに2度以上訪問したユニークユーザーの数のこと。
  • Return Visitor (再訪ユーザー、再訪セッション)
    再訪ユーザーとは、そのレポート期間前にもかつて訪問があり、かつそのレポートの期間内にサイトに再訪問したユニークユーザーの数のこと。

Visit Characterization (訪問特性)

  • Entry Page (閲覧開始ページ、入口ページ)
    閲覧開始ページとは、訪問の最初のページのこと。
  • Landing Page (ランディングページ)
    ランディングページとは、マーケティング的に計算されたユーザー行動において最初のページと意図されたページのこと。
  • Exit Page (離脱ページ、出口ページ)
    離脱ページとは、その訪問の最後にアクセスしたページのこと。その訪問の最後を意味する。
  • Visit Duration (滞在時間)
    滞在時間とは、1セッションの時間の長さのこと。一般的に、そのセッションの最後の行動がとられた時間から最初の行動がとられた時間を引いたもので計算される。
    (訳者補足)多くの場合、閲覧開始ページにアクセスした時間から、離脱ページにアクセスした時間までのこと。つまり、離脱ページでの滞在時間は含まれない。
  • Referrer (リファラー、参照元)
    リファラー(参照元)とは、そのページにアクセスさせるに至った元のページのURLのこと。
  • Internal Referrer (サイト内リファラー)
    サイト内リファラーとは、そのサイト内(あるいはそれに準ずるもの)に誘導するページURLのこと。
  • External Referrer (外部リファラー)
    外部リファラーとは、外部サイト(あるいはそれに準ずるもの)に誘導するページURLのこと。
  • Search Referrer (検索リファラー)
    検索リファラーとは、検索機能によって生じたリファラー(参照元)のこと。サイト内リファラー、外部リファラーを含む。
  • Visit Referrer (訪問リファラー)
    訪問リファラーとは、セッションの最初のリファラー(参照元)のこと。サイト内リファラー、外部リファラー、リファラーなしを含む。
  • Original Referrer (オリジナル・リファラー)
    オリジナル・リファラーとは、その訪問者の最初のセッションの最初のリファラー(参照元)のこと。サイト内リファラー、外部リファラー、参照元なしを含む。
  • Click-through (クリックスルー、クリック数)
    クリック数とは、その訪問者がそのリンクをクリックした回数のこと。
  • Click-through Rate/Ratio (クリックスルー率、クリック率)
    クリック率とは、そのリンクが閲覧された数に対するクリックスルーの割合のこと。CTR。
  • Page Views per Visit (平均ページビュー)
    平均ページビューとは、そのレポートの期間内での訪問数に対するページビューの割合のこと。

Content Characterization (コンテンツ特性)

  • Page Exit Ratio (離脱率)
    離脱率とは、そのページのページビュー合計に対する離脱数の割合のこと。
  • Single-Page Visits (1ページだけの訪問)
    1ページだけの訪問とは、その1ページだけを閲覧した訪問のこと。その1ページを何度閲覧しようともそれ以上カウントされない。
  • Single Page View Visits (Bounces) (直帰数)
    直帰数とは、1ページビューだけの訪問のこと。
  • Bounce Rate (直帰率)
    直帰率とは、閲覧開始ページの訪問者数に対する直帰数の割合のこと。1ページだけ閲覧して離脱した訪問者数の割合。

Conversion Metrics (コンバージョン指標)

  • Event (イベント)
    イベントとは、ブラウザーやサーバーによって特定の日時が割り当てられて記されたあらゆるログや記録された行動のこと。
  • Conversion (コンバージョン)
    コンバージョンとは、目的の行動を達成させた訪問者数のこと。

指標の日本語については、一般的に用いられる単語、Google Analytics などで使われている用語を中心に、僕の判断で選んでいます。よりふさわしいものがありましたらご指摘ください。

知っていて当たり前の人もいるでしょうが、「Entry Page」と「Landing Page」の違い、「Visit Duration」の理解とか、あやしい人も結構いるのではないかと思います。全部が全部必要な指標というわけでもないですが、理解はしておきたいですね。

追記。MdNから2008年8月18日に出た雑誌『Web STRATEGY vol.17』のアクセス解析の特集「アクセス解析で組み立てるWeb戦略」に、4ページほど記事を書かせていただきました。アクセス解析の指標の意味と、ビジネスでのその捉え方を簡潔にまとめています。よろしければどうぞ。

Web STRATEGY vol.17 (インプレスムック)
MdN
Amazon.co.jpで詳細を見る

Ad Innovator: Web解析協会、測定のスタンダードを設定

このブログの女子率は?

「なかのひと.jp」の女子率を晒すのがはやっているのでしょうかね。

アクセス元の IP をもとに組織名を検出するのに特化したアクセス解析「なかのひと.jp」が、半分しゃれでしょうが「年齢・性別解析機能」を追加しています。

代表的なアクセス元組織・約400件の男女比や平均年齢をあらかじめ入力しておき、IPアドレスで取得したアクセス元情報に基づいて男女比や年齢を推定する。

あんな人にも見られてた! 「なかのひと」にアクセス元の性別・年齢推定機能 – ITmedia News

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「滞在時間が次のWebサイトの評価指標だ」というわけではないのでは?

ちょっとタイミングを逃した感がありますが、アメリカの調査会社ニールセン・ネットレイティングス(Nielsen//NetRatings)がサイトの価値を表す指標をPV(ページビュー)から滞在時間に変更すると発表しています。

最良の指標は「総滞在時間」、Nielsen//NetRatingsが位置付け見直し – INTERNET Watch
ニールセン・ネットレイティングス、PVでなく滞在時間でサイトをランキングへ:ニュース – CNET Japan
ITmedia News:Nielsen//NetRatings、ネット視聴率の測定方法を変更
ページビューでは Web 2.0時代のサイトを正しく評価できない―米ネットレイティングスが「滞在時間」を重視 – MarkeZine

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ブログをブログとして評価するとき、PVは当てにならない、かもしれない

先日、「簡易的にブログを評価分析(解析)する方法」と題して、主なツールやサービス、方法を紹介しました。そこで最初に取り上げた「購読者数」ですが、僕はブログを純粋にブログとして評価するのであれば、購読者数を基準にするのが一番ふさわしいのではないかと思っています。購読者数、つまりRSSを含めたフィードの登録者数/購読者数です。欲を言えば、そのブログをブックマークしていたり、アンテナサービスに登録している数も含めたいです。

あくまで欲を言えばですが。

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簡易的にブログを評価分析(解析)する方法

ビジネスブログにしろ個人のブログにしろ、その評価分析手法はまだきちんと確立されていないのが現状ではないかと思います。これまでのアクセスログ解析を用いて一般のサイトと同じ基準(モノサシ)で評価すると、どこか少しつじつま合わせの評価を出していることもあるのではないでしょうか。

そうはいっても、運営しているブログがどれぐらい読まれてどれぐらい人気なのかは、何かの形で知りたいものです。ここでは、正確ではないものの、ざっくりとブログを分析するツールや方法を紹介してみたいと思います。

購読者数を調べる

まず、おおまかな購読者数(RSSフィードの登録者数/購読者数)を調べます。オンライン型のRSSリーダーには、ブログのRSSフィードを登録すると、合計何人そのRSSフィードを登録しているかが簡単にわかるものがあります。

現時点でメジャーなオンライン型RSSリーダーでは、このようなところでしょうか。

もしサーバーの生ログファイルが入手できるのであれば、RSSリーダーのクローラー(ロボット)のUser-Agentも調べてみます。User-Agentに「4 subscribers」などといった形で購読者数が付記されているものがあるので、それらを合計することで、オンライン型のRSSリーダーの大まかな購読者数を知ることができます。

もちろん、オンライン型RSSリーダーだけでなく、クライアントソフト型のRSSリーダーを使用している人もいます。タイプも様々で、これらの購読者数を調べるのはかなり難しく、また手間もかかります。数字に根拠はありませんが、「オンライン型RSSリーダーの購読者数×2」ぐらいで概算しておいていいのではないでしょうか。

また、FeedBurnerなどの独自のRSSフィード効果測定サービスを利用するのもひとつの方法です。

RSSフィードの購読者数、どれぐらいクリックされたか(クリックスルー)、どの記事がクリックされたかといった項目を知ることができます。ただし、FeedBurnerの場合、あらかじめブログのRSSフィードをFeedBurnerのものに差し替えておく必要があり、事前の準備が必要です。

人気度を調べる

コメントやトラックバックも、評価基準のひとつです。そのブログ全体の有効なコメント数とトラックバック数の各合計を、月末にエクセルなどにまとめておけば、「その月に獲得したコメント数とトラックバック数」がわかります(スパムの類は外しておきましょう)。その推移とアクセスログ解析でわかるページビュー(PV)の推移やリファラーを並べて見ることで、何か関連性が見つかるかもしれません。

ソーシャルブックマーク(SBS)からの影響度を調べるのもひとつの方法です。ネットの口コミの一種と位置づけて、ソーシャルブックマークからのアクセス数を記録しておきましょう。

ただ、ソーシャルブックマークを利用しているユーザーは、まだ少数で特殊な人が中心であるという認識は持っておいてもいいかもしれません。ブログの種類によっては、ここからのアクセスはほとんどない場合もあると思います。

また、はてなブックマークでは、自分のブログの記事がそれぞれ何人にブックマークされているのかを、まとめて見ることができます。

  • http://b.hatena.ne.jp/entrylist?url=http://(ブログのURL)

これを定期的にチェックしておくといいでしょう。

独自にブログの人気度を評価するサービスもあります。

フィードメーターは、独自の基準で「人気度」と「更新頻度」を数値化してくれます。ある程度の客観性を持っているので、参考程度に他のブログと比較して評価することができると思います。

Technoratiでは、プロフィールを登録することで、「いくつのブログから」「どれぐらいの被リンクを集めているか」、またそれらを元にした「Technorati Rank」を算出します。

BloginfluenceとHow Much Is My Blog Worthは、少しお遊び的な要素が強いですが、他のブログと比較してみると面白いかもしれません。これらはTechnoratiの数字や、GoogleやYahooのPageRankやIndex数を基に算出しています。

ブログと親和性の高いアクセス解析サービスを利用する

アクセス解析の中には、ブログと親和性の高いものがあります。

トラックワードは、どのようなキーワードで検索エンジンからブログの各エントリー記事にアクセスされているのかを、エントリー記事に表示させるサービスです。意図したキーワードで訪問されているのかがひと目でわかります。

MyBlogLog Statsは、「(どのページの)どのリンクをクリックしたか」という点に絞ったアクセス解析です。無料版は機能が限定されていますが、それなりに情報を得ることはできます。Performancing Metricsも、「どのリンクをクリックしてブログ外に出たか」や「どのページのGoogle Adsenseがクリックされたか」といった特殊な項目を知ることができます。mapsurfaceは、ページ単位でのアクセス状況や流出状況が、アクセスした訪問者も知ることができるというユニークなサービスです。

Measure Mapは、まだテストユーザーしか利用できないようですが、ブログ専用のアクセス解析サービスとのことです。「i d e a * i d e a – measuremap画面満載長文レビュー!」で、詳しくレポートされています。

「面倒くさい」「わからない」と思わず、「体験してみる」こと

以上のようなことをチェックしておくだけで、そのブログがだいたいうまくいっているか、あるいはまだまだなのかは漠然と見えてきます。これを踏まえた上でアクセスログ解析の結果を眺めると、何かが繋がるはずです。「上記に挙げたものを全部調べるのは面倒じゃないの?」と思うかもしれません。でも、それをやってみるのです。時間も、案外思っているほどかからないはずです。

Web2.0的なツールを使ったり評価したりするには、まずWeb2.0的な世界を深く体験してみることです。誰かから説明を聞くだけではなく、自分からその中に飛び込んでみることで、そのニュアンスがわかってきます。空気がわかってきます。Web2.0的な世界には、ある種独特の空気が漂っています。その雰囲気に慣れてきたら、そのブログがイケテルのかイケテナイのか、なんとなくわかってきます。上記に挙げたツールなどは基本的に無料で利用できるものばかりですが、それでもなんとなくわかってきます。もちろん確実な数値で評価できればいいのですが、その数値もWeb2.0的な世界ではそれほど重要ではないことは、体験しているうちに気がつくと思います。

ブログは、厳密に分析することよりも、発信してそこから派生することを体感することの方が、おそらく大切だと思います。発信、しましょう。