『死にカタログ』という本

『死にカタログ』

『死にカタログ』という本に出会ったのは去年の春か夏ぐらいでしょうか。そのときの会社のそのときの隣の席だった(と思う)M君の机にあった本。M君は当時ベトナムに行っていて不在で(結局そのままベトナム在住になってしまったけど)、なにげなく僕はこの本を手にとったのですが、思いのほか真摯に、でもカジュアルに「死」に向きあった本で、「うわ、この本すごい」と思い、その数ヶ月後に購入に至ったという、そういう本。

書いたのは、R25の表紙のイラストや「大人たばこ養成講座」などを手掛けるアートディレクター寄藤文平さん。もちろんここでは本文も。

世界のいろんな「死」の概念を紹介したり、統計的な「死」をまとめたり、そこにそれに対する寄藤さんの素直な言葉が続きます。ものすごく丁寧な仕事で、丁寧なイラストで、丁寧な言葉。丁寧? まあいいや。この本を仕上げるのに2年近くかかったとあとがきにもあるのですが、けっして軽い本じゃないです。丁寧に丁寧に作られた本。言葉もものすごく選ばれている。

僕に一番衝撃を与えたページ。初めてこの本をめくっていたときに、金槌に殴られた以上のショックを受けたページがこれ。

カラダの寿命を成長ホルモンの量の推移で表したもの。これを見たとき、まあ普通に自分のいまの年齢で位置を確認したのですが、もうすでに「なだらかな下り坂」なんですね。70歳80歳までの高低差もほとんどない。もうこんな位置なのかと。

僕の人生は、ゆっくりとなだらかな下り坂。この本を読んで、もうそんなに人生って長くはないんよ、大事に生きようよ、と思った、それでも僕は今年でまだまだ36歳。それでも焦りを感じます。

これで一気に寄藤さんが好きになりました。去年見に行った『人間扇風機』という作品展もおもしろかったです。

死にカタログ
寄藤 文平
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