企業サイトでのコミュニケーション、あるいはおもてなし、そしてそれの基盤について

企業サイト(コーポレートサイト)は、より多くのことを求められるようになってきました。

「とりあえずホームページを持っておく」という時代が過ぎ、「どのように顧客やユーザーに情報やメッセージを届けるか」というステップを経て、「顧客の反応を受け止めた上でそれにどう応えるか」という段階に進んでいる企業さんもあるかと思います。

自分たちが発信したい情報だけを提供するのではなく、いまその時点で企業サイト(もはや企業そのもの)に何が求められていて、それにどう応えることができるのかというコミュニケーションのレベルを見られていると思ってもよいと思います。

最近の不祥事などでの企業サイトにおける対応を見ていて、テレビや新聞などのマスメディア以外でその企業がどんな会社なのかを手軽に知ることができるのはまずウェブサイトであって、そこでのコミュニケーションレベルが低ければ、その企業のブランドは意外にもろく崩れてしまいかねないと感じます。

テレビでは平身低頭お詫びしている姿が放送されても、企業サイトではポップアップのお詫びのページ(検索エンジンにインデックスされにくい)や PDF1枚へのリンクだけということもよくあります。そのような情報はできれば見られたくないというのが本音でしょうし、各所への対応が山積みで企業サイトどころではないという声もあるでしょう。

でも、冗談ではなくそろそろ本当に「最高ウェブサイト責任者」という肩書きが出てきてもおかしくないとも思っています。

もちろん、企業として提供しなければいけない/したほうがよい情報の提供や、基本レベルとしてのユーザビリティとアクセシビリティの確保、SEOの実装は前提として必要です。

しかし、残念ながらその前提としての基盤も少しおろそかになっている企業サイトも結構な数あるのも事実です。地図のページがなぜだかわざわざポップアップで印刷しにくかったり(なんでポップアップにしたがるのかなあ)、お問い合わせフォームへのリンクが隠すように置かれていたり、SSLサーバ証明書の期限が切れていたり(IE7ではアクセス自体が非常に困難)……。

インターネットに詳しい担当者がいないという現実もあると思いますが、企業サイトを適切にドライブできる担当者、ウェブマスターが不可欠だと感じます。今後はさらに、アクセシビリティの面でも社会的に多くを求められてくるでしょう。そのときに、代理店や制作会社の言われるがままになるのか、企業としてのスタンスを伝えた上でやりとりできるのか。制作会社の社員が言うのもなんですが。

「体裁だけは整えました」感が伝わってしまう企業サイトでは、顧客とのコミュニケーションはやはりむずかしいのではないかと思います。どうすれば顧客をおもてなしできるのか、そのようなことを僕はずっと考えています。