『12歳からのインターネット』を読みました

『12歳からのインターネット ~ウェブとのつきあい方を学ぶ36の質問』

Windows95が登場したのは1995年で、僕は大学生でした。もちろん義務教育と高校でインターネットが絡んだ授業はおろか、パソコンを使った授業を受けたことがないのですが、いま小学校や中学校でどんなインターネット(やパソコン)の授業をやっているんだろう。

ちなみに、大学で学んでいたのは教育学(ただし先生になるための学問ではない)。

『12歳からのインターネット』という本を読みました。小中学生はもちろん、小学校や中学校の先生や偉い人たちは、ひとまずこの本を読むべきだと感じました。

インターネットとは?やEメールの話に始まり、チェーンメール、スパム、ウイルス対策の話になり、BBSやブログやSNSの話になったかと思ったら「荒らし」「自作自演」「釣り」「マルチポスト」「晒し」「粘着」といったものまでしっかり出てくる。ワンクリック詐欺や「炎上」や、動画をアップするときには何でもかんでも上げちゃ駄目だよというところまで出てくる。でも、有意義に使って、検索して、ウソをウソと見抜く力をつけよう、そしたらきっと楽しいし、世界は絶対広がるよ、と。

こういう本は、「インターネットは楽しいよ!」というメッセージと「インターネットは危険だよ!」というメッセージのバランスがむずかしい。大人は得てして「危ない危ない」と言うし(実際危ないし)、ひどくなると仕組みが悪だとか言い出すんですが、インターネットはちゃんと使えばすごく楽しくて有益なもの。でも、ちゃんと教えられる人がいない。むしろ大人もわからないことが多い。

悪い人がいる以上、インターネットは性悪説に基づいて動いた方がいいのはある意味間違っていないと思うけれど、じゃあそれを子供にどうやって伝えるかをわかっている人ってどれだけいるんだろう? 僕も体感的になんとなくわかっているけれど、教えられるかどうかは別。子供はいないですが、じゃあ甥っ子や姪っ子にどうやって教える?となるときっと迷う。
この本は、そのあたりをうまくまとめていると思います。もちろん、個々の項目を取りあげて、その説明がパーフェクトかどうかと言えば僕なら違う答え方をするかもしれないものもありますが、方向性は全然間違っていない。

2年3年経つとまた状況も変わってくるでしょうから、ぜひとも1~2年おきに改訂して、親御さんや先生たちはこれを読んで、実際に体験してみるといいと思います。「インターネットの教育」って、全然体系化されていないはずだし、でもものすごく必要なものだと思います。生活に密接しているだけに。

12歳からのインターネット ~ウェブとのつきあい方を学ぶ36の質問
荻上チキ 著
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