佐久協著『高校生が感動した「論語」』を読みました。行き帰りの電車の中で孔子の「論語」を読んでいるというのは、ふと我に返れば不思議な気分でしたが、気になる言葉に出会ったときには本を閉じて少し噛みしめてみたり、帯に「スラスラ読めて」と書いてある割には(確かにスラスラ読めますが)思ったより時間をかけて読みました。
孔子を読むのは高校生以来ですが、そのときに教えてもらった内容はほとんど覚えていません。著者の佐久先生のとてもわかりやすい現代語訳のおかげで、「論語」を初めてちゃんと理解することができたのではないかと思います。
この本の中で、ひとつ嬉しい言葉に出会いました。「正義」と「不正」の対比で少し仰々しいですが、僕がこのブログで心掛けているようなことが綴られていて、「ほうほう」と呼んでいて嬉しくなりました。この言葉に限らず人生の教訓になる言葉が多く散りばめられているこの本、ときどき読み返してみたいと思います。
わたしはね、正義の実践者と、不正を憎む者とは、似ているけれども、明白な相違があると思っているんだよ。正義の実践者に関してはつけ加えることはないが、不正を憎む者について一言いっておこう。不正を憎む者も不正が広がるのを防いでいるのだから、正義を行っていることには違いはない。しかし、一日でもいいから他人の不正を責めるというマイナスの情熱を自らの正義を実践するというプラスの情熱に転換してみるといい。そうすれば、異いが分かるはずだ。他人の不正を憎むエネルギーを持っているのに、自らの正義を実践するエネルギーがないなんて言う者はおるまいよ。そんな者がいると思うかい? おるまいよ。