『高校生が感動した「論語」』を読みました

佐久協著『高校生が感動した「論語」』を読みました。行き帰りの電車の中で孔子の「論語」を読んでいるというのは、ふと我に返れば不思議な気分でしたが、気になる言葉に出会ったときには本を閉じて少し噛みしめてみたり、帯に「スラスラ読めて」と書いてある割には(確かにスラスラ読めますが)思ったより時間をかけて読みました。

孔子を読むのは高校生以来ですが、そのときに教えてもらった内容はほとんど覚えていません。著者の佐久先生のとてもわかりやすい現代語訳のおかげで、「論語」を初めてちゃんと理解することができたのではないかと思います。

この本の中で、ひとつ嬉しい言葉に出会いました。「正義」と「不正」の対比で少し仰々しいですが、僕がこのブログで心掛けているようなことが綴られていて、「ほうほう」と呼んでいて嬉しくなりました。この言葉に限らず人生の教訓になる言葉が多く散りばめられているこの本、ときどき読み返してみたいと思います。

わたしはね、正義の実践者と、不正を憎む者とは、似ているけれども、明白な相違があると思っているんだよ。正義の実践者に関してはつけ加えることはないが、不正を憎む者について一言いっておこう。不正を憎む者も不正が広がるのを防いでいるのだから、正義を行っていることには違いはない。しかし、一日でもいいから他人の不正を責めるというマイナスの情熱を自らの正義を実践するというプラスの情熱に転換してみるといい。そうすれば、異いが分かるはずだ。他人の不正を憎むエネルギーを持っているのに、自らの正義を実践するエネルギーがないなんて言う者はおるまいよ。そんな者がいると思うかい? おるまいよ。

高校生が感動した「論語」より

消費者が主導権を握る時代

ブログ界でも広告業界でも話題の『テレビCM崩壊 – マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0』を、今更ながら読んでいます。アメリカの広告事情を把握していないとついていけない箇所がところどころにあるのですが、旧態依然とした広告には消費者はもう振り向かないよという刺激的な事例が多く挙げられています。

本の中で何度も繰り返し出てくるのが「消費者が主導権を握った」という表現。消費者が過去10年の間に大きく変わって力を持つようになったのが、ひとつのポイントだと指摘しています。7章では「変貌する消費者を再考する」として、新しい消費者像を提示しているのですが、非常にうまく捉えていて大変参考になります。

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自分たちの会社は「何を」売っているのか – 中小企業と Web2.0 (2)

前回のエントリー記事「中小企業とWeb2.0」の続き。

実際の「商売」の部分は Web2.0 とはあまり関係がない、と書きましたが、「自分たちの会社はいったい『何を』売っているのか」という、まさしく商売の部分の理解があるほど、「Web2.0 の時代」にうまく効果を出せるのではないでしょうか。

「自分たちの会社はいったい『何を』売っているのか」。化粧品メーカーは化粧品を売っているのではなく「美しくなるためのもの」を売っていて、果物屋さんは果物ではなく「健康的な生活を送れるもの」を売っています。IBM の取締役だった方は、「我々はコンピュータを売っているのではなく、問題解決のためのソリューションを売っているのだ」と言っていたそうです。

佐々木俊尚氏著『検索エンジンがとびっきりの客を連れてきた! – 中小企業の Web2.0 革命』に出てくる企業の事例として、屋形船を営む会社と江戸切子を売るお店の話が出てきます。どちらも、検索エンジン対策と PPC広告に取り組み出し、徐々にキーワードの幅を広げていった、という話が展開します。本には明確な形で書かれていませんが、両者とも「自分たちの会社はいったい『何を』売っているのか」に気がついた点が大きなポイントではないかと思います。

当初は「屋形船」「東京湾 屋形船」といったキーワードを登録していたが、しばらくして「東京湾 夜景」「宴会 幹事」などとキーワードの幅をかなり広げるようになった。
そうしたのは、「屋形船」というキーワードだけでは客層が限られてくるということに気づいたからだった。たとえば、
「今度の宴会は、みんなで東京湾の夜景でも見たいね」
と社内で盛り上がっても、そこでいきなり「屋形船に乗ろう」とはならない。宴会幹事が東京湾の夜景を楽しむために検索エンジンで何かのサービスを探すとしても、「東京湾 屋形船」というキーワードはあまり使われない。そもそもが宴会で屋形船に乗るという発想が幹事の側にもともとないのだ。

『検索エンジンがとびっきりの客を連れてきた! – 中小企業の Web2.0 革命』 P130より

屋形船を営んでいる会社は、屋形船の乗船を売っているのではなくて風情を楽しむことを売っているのだ、と気がついたのです。ここに気がつくかどうかで、成功には差が出てくると思います。江戸切子を売るお店も、途中で「焼酎」といったキーワードに気がつき、大きく売り上げを伸ばします。

「Web2.0」は、企業にとってそれだけではたぶん魔法ではありません。ただ、これまでの「商売」と組み合わせることで思いがけない効果が出たりするものだと思います。「商売」の部分が強ければ、大企業とも渡り合えるだけの力を差し出してくれるのが、「Web2.0」のテクノロジーなんじゃないかと思います。

中小企業とWeb2.0

佐々木俊尚氏著『検索エンジンがとびっきりの客を連れてきた! – 中小企業の Web2.0 革命』を読みました。中小企業が検索エンジンと PPC 広告を利用していかに事業を立て直したかという事例が、詳細に描かれています。

「Web2.0」というキーワードを絡めた記事を、一般の雑誌やフリーペーパーでも見かけるようになりました。「うちのホームページも Web2.0 に対応してくれ」というような、少しヒアリングをしなければ意図が掴めないような依頼も来ています。ただ、言葉が一人歩きしていようなる状態の「Web2.0」と、たとえば中小企業のサイトは、なかなか結びつきにくいものです。そのようなときに、本書は一つのヒントになると思います。

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『風に吹かれて豆腐屋ジョニー 実録男前豆腐店ストーリー』はロケンローなマーケティングの本でした

男前豆腐店の社長、伊藤信吾さんによる『風に吹かれて豆腐屋ジョニー 実録男前豆腐店ストーリー』を読みました。この本が店頭に平積みされたときは「宣伝本?」と勝手に思い込んで見向きもしなかったのですが、「かなり面白い」という噂をブログ界で目にしていそいそと買いました。ものすごく面白い本でした。下手なブログ・マーケティングの解説本を買うよりも有益かもしれません。

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