根拠のない自信の裏側は虚像

この15年ぐらい、「根拠のない自信」で生きている。2006年に転職して大阪から東京に引っ越してきたときもそうだったし、2008年に数か月間だけ宙ぶらりんになったときもそうだった。2010年に仕事の当てが一つもないのに独立したときもそんな感じだった。なんとかなるんだろう、生きていければいいや、そんな感じだった。

いまも、企業を支援する側として「根拠を元にロジカルにサイト改善を」と言って仕事をしているのに、自分の人生に関してはよくわからない適当な根拠で生きている。変な話である。

とはいえ、一応は経営者だ。小さな会社と言えばかわいいが結局は零細企業なので、冷静に見れば吹けば飛ぶような存在である。「根拠のない自信」と言いつつ、毎日が不安の日々である。立ち止まってばかりだ。「根拠のない自信」と壁一枚隔てたその裏に、「虚像」の気配を感じる。

虚像があるのかは知らない。見たことはないし、見たくもない。その気配にいろいろモヤモヤしつつも、でも表の自信を持った姿を信じて進んでいたい。

ポール・マッカートニーの大好きな曲に「My Brave Face」という曲がある。1989年に発表された、アルバム『Flowers in the Dirt』に収録のエルヴィス・コステロとの共作曲。

当時の日本盤CDの歌詞カードに、「My Brave Face」の訳詞で「僕の虚像」という言葉が使われていた記憶がある。いまこれを書いている手元に当時のCDがないので、サビの部分の英語詞を引用してみる。

Now that I’m alone again, I can’t stop breaking down again.
The simplest things set me off again
and take me to that place
where I can’t find my brave face
where I can’t find my brave face
my brave, my brave, my brave face.

逆説的な表現になっていると思うんだけれど、「My Brave Face」がつまり「僕の虚像」ということだ。まあそうなのかもしれない。表は自信に満ちた姿も、裏側はたいていそうじゃない。

2010年に独立してまもなく、仕事をする上での自分の信条として、クレドを作った。クレドについてはブログでも何度か書いている。

『マイクレド My Credo』を読んで、マイミッションを考えてみる

もちろんいまも、8つのクレドを書いた紙を事務所の壁に貼っている。その8つ全部をここに書かないけれど、その中の一つはこれ。

“Fake it till you make it.”

「うまくいくまで、うまくいっているフリをしなさい」という感じだろうか。別に「だます」という意図はなく、「うまくいくまで負けずにがんばりなさい」と僕は捉えている。

いろいろ大変なことは起こるし、独立してからの6年間を冷静に振り返ると全然順調じゃない。順調じゃないんだけれど、そして明確な根拠なんて持ち合わせていないんだけれど、この先も僕はうまくいくと信じている。

根拠のない自信の裏側は虚像かもしれないけれど。

2010年の8月に独立して、まもなく6年目が終わろうとし、7年目が始まる。株式会社真摯はすでに5期目を歩き始めている。今後とも変わらずどうぞよろしく。