たったポイントカード1ポイントでファンにした、顧客とのコミュニケーション

たった「20秒のオペレーションコスト」と「1ポイント」でファンにさせた、顧客とのコミュニケーションのお話。

先日、とある「チェーン系洋菓子店」にケーキを買いに行きました。発行日から1年間有効のポイントカードの期限が「11ポイント」を残して切れる頃で、10ポイントでもらえるラスクをもらいに、という理由もありました(ちょっと前に、たくさんたまったポイントのほとんどを商品に換えてしまったんですね)。

夕方、その洋菓子屋さんでケーキを2つ注文し、ポイントでラスクを交換してほしい旨を女性の店員さんに伝えました。手持ちのポイントが「11ポイント」で、ラスクの交換は「10ポイント」。7月中旬を期限にして、カードに1ポイント残りました。

店員さんとの会話

通常のオペレーションであれば、「1ポイントだけ残った7月中旬が有効期限のポイントカード」に、今回購入したケーキの分のポイントを加算することになります。

店員さん「ポイントカードが1ポイントだけ残って有効期限が近いのですが、今回購入分のポイントはこのカードに付けない方がよろしいですか?」

僕「ええ。もうそのポイントカードは捨ててしまっていいです」

店員さん「じゃあ、新しいポイントカードを作って、そこに今回購入分のポイントを付けておきますね。……あと、この古いカードに残った1ポイントは新しいカードに移しておきましょうか」

僕「ああそんなのできるんですね。じゃあお願いします」

店員さん「どの店舗でもやっているというわけじゃなくて、今回だけちょっと特別に、せっかくなのでやっておきますね」

僕「ありがとうございます」

ちょうど平日の夕方で、お客さんが僕以外に誰もいなかったことと、おそらくその女性の店員さんは店長かマネージャークラスの人だったこと、そういう偶然が重なって、ラッキーな対応をしてもらいました。

ポイントの移行はほんの20秒ぐらいだったでしょうか。僕はケーキ2つにラスク1つ、「移行の1ポイント」を追加した新しいポイントカードを持って、ちょっとだけ幸せな気分で帰路につきました。

たった「20秒のオペレーションコスト」と「1ポイント」

僕はもともとその洋菓子屋さんがお気に入りで、頻繁に利用していました。また、その日は昼過ぎから健康診断で昼ごはんを食べ損ねた上に、暑さの中でげんなりしていた中での「うれしい出来事」でした。

おかげで僕は、その洋菓子屋さんの「リピーター」から「ファン」になるわけです。

たった「20秒のオペレーションコスト」と「1ポイント」。顧客とのコミュニケーションにかけたコストとしては非常に小さなものです。そのわずかなコストのおかげで、僕はより一層そのお店のことが好きになったわけです。その女性の店員さんの機転と対応はとてもよかったと思います(「自分ごと」ではあるのですが、客観的に見てもそうだと思います)。

おそらく、他にお客さんがいればそのような対応はしなかったでしょう。また、同じ状況でもアルバイトであればなかなかできない対応です。マニュアルにはない、イレギュラーだけれどもお客様が喜ぶコミュニケーション。

リアルな店舗ビジネスではどちらかといえば対応しやすい内容です。ウェブのeコマースではなかなかむずかしいでしょう。ウェブだと、ちょっとだけザッポスを思い出しますね。最近は「ザッポス」というキーワードを見かけなくなりましたけれども。

「20秒のオペレーションコスト」と「1ポイント」でファンにさせた、顧客とのコミュニケーション。ケーキはとてもおいしくいただきました。