新しいYouTubeアナリティクスで「動画がどこまで再生されたか」を分析する

YouTubeアナリティクス

Googleは2011年11月30日、YouTubeの「インサイト (Insight)」に代わる新しい動画アクセス解析ツール「YouTubeアナリティクス (Analytics)」を公開しました。発表によれば、全ユーザーが利用できます。投稿した動画の状況が把握できます。

僕も動物園の動画を中心に30本ぐらい投稿した動画があり、データのレポートを見ていたら結構楽しかったので、どういったものかを紹介します。珍しく久しぶりに、ツールの紹介のエントリー記事です。

主な機能

  • 再生回数
  • ユーザー層(性別、年代別、国別といった属性、それらのクロス集計)
  • 再生場所(動画が再生されたページやサイト、携帯端末など)
  • トラフィック(ユーザーがその動画を見つけた参照元)
  • 視聴者維持率
    • 絶対的な視聴者維持率(ユーザーがおおよそ動画のどのあたりまで再生したか)
    • 相対的な視聴者維持率(長さが同程度の他の動画と比べて、どれだけユーザーの注目を維持できたか。「インサイト」にあった「ホットスポット」とおそらく同機能)
  • 評価(「評価する(高評価)、しない(低評価)」の集計)
  • お気に入り(お気に入りの追加数と削除数)
  • コメント数
  • 共有(ヘルプでの詳細未確認。TwitterやFacebookでの共有やブログへの投稿と思いますが、どの時点でのアクション計測かは不明)
  • 見積もり収益額(画面では未確認。AdSense利用時の収益額)
  • Call-to-Action (画面では未確認。AdWordsのInVideoオーバーレイ広告を利用時のクリック数、インプレッション数、CTR)
  • ライブイベント(画面では未確認。ストリーミング利用時の瞬間ストリーム数、合計再生回数)

それぞれの機能のレポートは、チャネル全体および動画ごとに、トレンド(推移)として確認できます(一部は動画ごとのみ)。また、任意の期間や国・地域でセグメント(フィルタ)できます。ただし、動画の再生回数が小さいと、データは表示されません。

おもしろいと思った点、感想

  • 「絶対的な視聴者維持率」は、動画再生と連動して「その時点までユーザーの何%が再生した」がわかって、おもしろいというか「もうちょっと見てよ」と懇願したくなる
  • 「相対的な視聴者維持率」は、動画コンテンツの長さ(時間)や内容によってそりゃまちまちだろうけど、動画の最後の方まで注目度を維持できているとちょっとうれしいよね
  • 思った以上にモバイル(携帯端末)からの視聴が多い。2011年11月で全動画(再生回数約1,000)で、26%もある。iPadってモバイル扱いだろうな
  • 予想どおりというか、海外からのアクセスの割合が多い。僕の場合で10%ほど。あたりまえながらもう少しタイトルや説明文やタグをちゃんとしないといけないよな。たとえば英語と日本語の投稿を分けるというのはどうなんだろ。たぶんあんまりよくないよな
  • 性別や年代別といった属性はサンプリングかつデータ根拠がやっぱりよくわからないので、あんまり興味なし。ふーん程度
  • 海外からのアクセスのモバイル(携帯端末)の状況もおもしろい。日本がモバイル率高く、次いでアメリカ。トラフィックはそこそこあるけどモバイル率低いのが台湾、中国。母数小さいから参考程度だけれど
  • AdSense関係とAdWords関係とストリーミング関係のデータも乗っかってきて、なにこのハイエンド感
  • 国別のセグメントは入力する必要があるね。「日本以外」とかできればうれしいな

ビジネス側面では、AdWordsのInVideoオーバーレイ広告と関連づけることができるようなので、出稿しているのであれば確認してみるとよいと思います(僕が思っているのと違った内容かもしれません。間違ってたらごめんなさい)。

一般的な動画投稿者の視点で見ると、「動画のどこまで再生されているか」は非常に気になるものです。動画の内容によってまちまちでしょうが、「ここまでは見てほしい」というポイントがあって、想定よりもそこまで再生されていないのであれば、動画の構成や編集、時間的な長さなどを検討していくことになります。そういったデータが容易に取得できるのは非常に便利です。

レポート画面

とりあえずキャッチーそうなレポート画面を貼っておきます。僕はあまり見ないだろうものも載せてみます。キャッチーなので。


▲再生回数


▲ユーザー層(性別、年代別、国別といった属性)


▲再生場所(動画が再生されたページやサイト、携帯端末など)


▲トラフィック(ユーザーがその動画を見つけた参照元)


▲相対的な視聴者維持率。動画の再生とレポートを連動させることができる。この動画は最後までやや高い注目度を維持できたみたい

動画って「再生回数」だけじゃないよ

動画の周辺でよく見る指標(数字)は、一般的にはまず「再生回数」が挙がるでしょうか。Webサイトの「ページビュー数」みたいなものですね。でもまあ、見る指標ってそれだけじゃ効果測定としては不足ですよね。そういったときに、こういったツールはありがたいです。

ただ、あくまで目的や視点を持ってデータを見に行かないと駄目で、データありきで「こうだからこうなんです!(キリッ」というのもまた危なっかしいのですが、それは別に動画に限った話ではなく。

大きなレガシー系企業のブランディングを目的にした動画のクリエイターや関係者は、これを見たくないだろうなあ(見たいような見たくないような?)。でも、これが現実というか、取得できるレベルのデータであって、そこからのフィードバックを動画やコンテンツにまたどう反映していくかが、鍵になるはずです。

僕は動画のクリエイターでもなんでもないのですが、個人レベルで活用していこうかと。

ということで、冒頭の画像にあるシロイルカの動画、2分44秒という長さにも関わらず、視聴者の50%以上が最後まで再生しているようで、ちょっとうれしい。そういうモチベーション維持には確かになるよな。

YouTube Blog: Announcing YouTube Analytics – the next generation in Insight

リニューアルでUIが変更になって、どこからYouTubeアナリティクスに行けばいいのかわからない方は、以下からどうぞ。

YouTubeアナリティクス

ちなみに、このエントリー記事は、アクセス解析イニシアチブ(a2i)の本日付けの会員向けメルマガのコラムと関連付けてみました。

【メルマガコラム】動画は再生回数だけでなく、どこまで再生されたのかにも注目を

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