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「ひとり複数ブラウザ」時代のユニークユーザーって何だろう?

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photo by Keoki Seu

「ひとり複数ブラウザ」時代のWeb解析(アクセス解析)で、「ユニークユーザー」レベルでの分析はどこまで有効なのでしょうか。そもそもユニークユーザーをどう扱えばいいのでしょうか。懐疑論ではなく、ひとつの問題提起として。

いま私たちのインターネット利用は、複数のユニークブラウザでの利用が大きく占めるようになってきたと思います。特に根拠となるデータは調べていませんが、直感的にそう感じています。

インターネットの領域で仕事をしている僕は特殊な部類の人間ですが、生活におけるインターネットの利用はこんな感じです。

  • 自宅のPCで1ブラウザ
  • 仕事場のPCで2ブラウザ(FirefoxとChromeを両方使い分けています)
  • ケータイで1ブラウザ(iモードブラウザ)と1アプリ(Twitterのiアプリ)
  • 自宅にある相方さんのiPadで1ブラウザ

6ユニークブラウザ。挙げてみると怖いもので、僕は6つのブラウザで普段インターネットを利用しています。iPhoneなどスマートフォンを利用している人も、きっと同じようなものでしょう。まあ「トーキョー」という首都圏は世界的にもきっと特殊な環境なのでしょうが、それでも「自宅と会社」「PCとケータイ」というように、少なくとも複数のブラウザの利用はある程度の市民権を得ている状態かと思います。

さてその中で、Web解析(アクセス解析)、データ分析の領域のお話。

Webサイトに流入してから離脱するまでの一連の行動(セッション)を軸に分析するだけではなく、ユーザーレベルで分析していこうという潮流が一つあります。その場限りの行動を分析しても行動のモチベーションなどがわからないことが多いので、「その人」の過去の行動を全部紐づけて見てみましょうという、まあ自然な流れですね。

一番最初にどこからどういうモチベーションでやってきて、2回目の訪問はどこから来てどういう行動をして、3回目は...、そして4回目は...、そしてどういう流れで問い合わせに至ったのか、というように。そしてさらにそこから先も、実際の顧客データと紐付けたり。

一般的にもなじみのある用語、いわゆる「ユニークユーザー」でどうなのか、ということです。アシスト(間接)効果はどうやって見ていけばいいのかだとか、まあそこに付随していろいろ課題もあるのですが。

そもそもユニークユーザーというのも、CookieやIPアドレスやユーザーエージェントなど、いろんなベンダー様のいろんなツールがいろんな技術で特定しようとしているのですが、この「ひとり複数ブラウザ」の時代、「ユニークな個人」の特定はかなり難しいはずです。会社PCで見た続きをiPhoneで見れば、残念ながらユニークユーザーとしては別のものなので通常は「2」としてカウントされます。Web解析用語としての「ユニークユーザー」、notイコール「特定の個のユーザー」。一方で、「ユニークユーザー」という言葉が語られる文脈は、往々にして「個」という意味で用いられているような。

もちろん、IDでログインするWebサービスなら「個」の特定はある程度可能になります。それでも、ひとりが複数のIDを所有していたり、逆に家族でひとつのIDを共有していたりして、完全な「個」の特定はやっぱりむずかしい。

一方で、「アクセス解析って気持ち悪い、怖い、嫌い」という一般的な意識もずっとありますし、広告の側面でもCookieとプライバシーの関係はセンシティブな状態だったりします。

閑話休題。ひとつ言いたいのは、ユニークユーザーレベルで分析したり、アシストの効果もちゃんと見ていきましょうという話がある中、その分析をするだけの価値があるのかどうか、分析して得られたデータと改善案ははたして有効かつ有益なものなのかの判断をちゃんとしなければいけないということ。

ユニークユーザーレベルで分析したものがどれだけ「個のユーザー」レベルの分析なのか、アシストって本当にそれだけなのか(そしてどう見ればいいのか)、得られたデータはどこまで正確なのかというところ。手間暇かけて分析して得られた内容が、そもそも疑ってかからなければいけないのだとしたら、その分析にかける費用は妥当性のあるものですか、ということ。データの取得にも集計にも分析にも、そしてどうすればいいのかと落とし込むのにも、それぞれそれなりに費用はかかるわけですから。

高額な商材であったり、数年に一度しか購入しないような商材であれば、「個のユーザー」レベルでの分析は重要でしょう。とはいえ、ユーザーレベルの分析は時間もコストもかかりますし、簡単ではない上に正確な「個」のデータである保証もない。「体力」がないと正直しんどいはずです。

Webサイトへのユーザーの接触手段が多岐にわたる中、改めて「そもそも完全な分析なんてできない」という前提から始めなきゃいけないと思っています。

たしかに、セッションレベルの分析も個の行動が断片化してしまってわかりにくいのもそのとおりで、ユーザーレベルで分析しなきゃという気持ちもわかります。隣の芝生はいつもとても青いのです。でも、そこに投資するだけの価値があるのか、他にやらなければいけないことはないのか、冷静に判断しなければいけないです。

体力のあるところやそれを必要としているところは、どんどんチャレンジして(そしてあわよくば事例としてオープンにして)ほしいですし、しんどいところはもっと確実なところに投資するべきではないかなと。

さて、ユニークユーザーって、何ですか?

---

読み返してみたら、散漫な文章でした。

余談。アクセス解析イニシアチブでは、2010年7月に用語や指標の定義のガイドラインを発表しています。ご参考まで。
アクセス解析の集計と用語定義ガイドライン第2版を発表 - アクセス解析の協議会 アクセス解析イニシアチブ

いちしま泰樹

いちしま泰樹

株式会社真摯 代表取締役、Webマーケティング・コンサルタント。マーケティング視点とデータの根拠を軸としたWebビジネスの改善を支援しています。本名、市嶋泰樹。

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Cinci

株式会社真摯

お客様と真摯に向き合い、伴走するコンサルティング会社。マーケティング視点(Marketing)とデータの根拠(Analytics)を元に、Webサイトの改善と集客施策の改善、ビジネスプロセスの改善の3つを支援します。

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