あんけいさんの「私的勉強会 解析しないと」で感じたことや、僕のやり方やら

12月4日、あんけいさんによるWeb解析/アクセス解析の勉強会「私的勉強会 解析しないと」に行ってきました。以前に雑誌の執筆で声を掛けていただいたり、その後いろんなところでよくお会いしたりするのですが、タイミングが悪くいつもセミナーなどは聞けなかったので、やっと聞けたというか。

勉強会の内容の軸は「KPI」。どういうことを意識すればいいのかや、具体的な事例によるクイズが設けられていたりと、1時間(でしたっけ?)があっという間でした。

印象に残ったこと

思ったこと感じたことをひとまず箇条書きに。

  • 「KBR (Key Business Requirement)」というキーワード。一般的に広く使われている言葉ではないと思うのですが、あんけいさんの所属する会社が積極的に使っている様子。事実、その会社のみなさんのノートパソコンには「KBR」のステッカーが確かに貼られているなあとふと思い出しました。「みんなスポーツチームか何かのファンなのかなあ」と思ってました。いきなりのアハ体験。
  • 話によどみがないというか迷いがないというか、まあ実際コンサルの際はいろいろお客さんとともに悩んだりしているはずですが、確固とした手持ちの「駒」はたくさん持っていらっしゃるんだろうなあという印象。ストーリーが明快でわかりやすい。あとさすがに喋りなれてる。
  • 「緻密などんぶり勘定」。いやまさにそう(笑)。いろんな数字がなまじっかあるのでそれを元に見積もりを立てるけど、でも最終的には大胆にざくざくとえいやっという感じになりますよね。

KBRとはつまり、戦術ごとのゴールのことか

さて、KBR (Key Business Requirement) の話。

KBRとはゴールを分解してブレイクダウンしたもの、と説明にはあったのですが、「Business」とあるもののビジネスゴールというよりはそのWebサイトのゴールを分解したもの、でしょうかね。とまれ、KBRは「戦術ごとのゴール」のようなものかなと感じました。あ、戦術ごとのゴールだけではなくて戦術そのものも含むか。

  • そのWebサイトの目的は何で
  • ゴールは何で
  • そのための戦略はこうで
  • 戦術としてこれとこれとこれを実施して
  • それぞれの戦術の目標値あるいはKPIはこれで
  • それを効果測定するにどういうツールのどの項目を見るのか

アクセス解析は、サイトの目的とゴールの再確認から | マーケティングis.jp

これは僕が以前「マーケティングis.jp」に書いた内容ですが、そのエントリーで書いたところの「戦術」に該当する部分かなと思います。OGSMでいうところの「Tactics(戦術)」の部分。

OGSM

プロジェクトの軸をぶれさせない方法 – 「OGSM」より

この図の、各戦術とその戦術ごとのゴールがKBRに含まれてきそう。

あんけいさんとは視点や組み立て方が違うだけで、たぶん同じことを言っているんじゃないかなと思います(勝手にそう思ってすいません)。でも、こうやって物事を分解、整理してスコープを定めることは大事です。

情報は図解してみるとわかりやすくなる

勉強会では4問ほど質問が出され、それをみんなで考えてみるというのもありました。

せっかくなので、僕がこのときにどう考えていたかを参考までに残しておこうかなと思います。

こういう情報は図解するとわかりやすいです。たとえばこのQ2の問い。ここでは「流入数」「コンバージョン数」「CVR」という3つの軸での数字なので、バブルチャートにしてみます(正確には3つはそれぞれ関係し合う数字なので実質2軸なのですが)。


図1 流入数とコンバージョン数、CVRのバブルチャート

ポジションがわかりやすくなりました。ではこの図1を、ざっくりと4つの領域のマトリクスに分けてみます。


図2 図1を4つの領域に分けたもの

図2でどこに境界線を持ってくるかは、Webサイト内の平均であったり目標値であったり、まあいろいろ。

そして、「コンバージョン数が大きい/小さい」「CVRが高い/低い」で分けた4つの領域に、それぞれの媒体がどこに分布されているのかを見ることになります。


図3

一般的には図3のように、コンバージョン数を増やすかCVRを高めるかということになります。

  • メールはCVRはある程度あるけれども流入が小さい(バブルサイズが小さい)ので、流入を増やしてコンバージョン数の増加を図ってみる。ただ媒体の特性上、流入にも限界があるし、手法を考えないとCVRは徐々に下がるかもしれない
  • 有料検索は流入は大きいけどCVRが低くコンバージョン数が小さいので、効果が出ていないものは一旦止めてCVRを高めた上で、そこからまた流入数を増やしてコンバージョン数の増加を図ってみる
  • 広告出稿も、有料検索と同様に効果が出ていないものを止めて状況改善を図ってみる

なんとなくこういうことが見えてくるのではないでしょうか。もちろん実情に合わせた内容でなければならないし、細かい施策の検討はまた別の次元で発生しますし、トライアンドエラーを繰り返すことになりますが。

僕ならこういう組み立て方をするのですが、やり方は人それぞれです。僕のやり方も比較的よく使われる手法です。頭の中ですぐに見えてしまう人だっているんじゃないかと思います。そのあたりはセンスや感覚のレベル。あんけいさんは頭の中で見えていそうな感じ。

さてその後、森田さんのテスティングの話も30分あったのですが、エントリーがちょっと長くなってしまったので、また別途。