Yahoo!アクセス解析は注目に値するWeb解析ツール(化ければね)

Yahoo!アクセス解析が5月26日に無料のWeb解析ツールとして公開されています。3月17日から利用していたのですが、2ヶ月と1週間ほど利用した感想などを踏まえてまとめておきます。

どうしてもGoogle Analyticsと比較されてしまい、機能面でまだまだ劣るところが多いので「大したことない」という意見も見られますが、それでも僕は注目しておくべきWeb解析ツールだと思います。Yahoo! JAPANという日本でも有数のトラフィック・データを有しているという利点を生かして、「化ける」かもしれません。

そもそも、ルック&フィールが米Yahoo!のYahoo! Web Analytics(限定公開)とそっくりということで、それの日本版と思われるのですが、ベースが同じなのか(たぶんそうだと思いますが)、日本独自の開発が今後進められるのかは現時点で不明です。少なくとも、Yahoo! Web Analyticsはバージョンアップが進み、かなり独自のレポートを出していることもあって、日本版「Yahoo!アクセス解析」も同等のものが期待されます。

随所に見られるビジネス向けの設計

僕が試しにに作成したダッシュボードのひとつですが、普通の「個人向けのアクセス解析」の設計ではないですね。ビジネス向けの設計が随所に見られます。

ダッシュボードはまだ入れられる内容が少ないものの、無制限(?)に作成できるようですし(Google Analyticsは1ページだけ)、上図のように「直近の30日間 vs. 直近の90日間」の比較でのKPIのレポートだったり(「KPI」という言葉がそもそもビジネス視点)、明らかにビジネス向けっぽいゲージレポート(スピードメーターのようなやつ)なんてのもあったりします。見やすいかどうかはともかく。

現時点の特徴とマイナスポイント

特徴

現時点での特徴としてはこんなところでしょうか。

  • ダッシュボードが自由に設計できる(内容はまだまだですが)
  • 詳細なパス分析
  • IPアドレスを含む個別の訪問経路分析
  • リアルタイム計測
  • 離脱リンクの取得

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▲詳細なパス分析(経路分析)。矢印を辿ることで離脱まで追える(たぶん)。

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▲トラフィックの訪問詳細で、個別のIPアドレスの訪問ごとの経路分析が追える。

パス分析は正直統計立てて分析することがむずかしいところなのですが、それでもユーザーの動きを具体的にイメージできる貴重なデータであることは確か。フォールアウトなども、経路分析で追えるんじゃないかと思います。

マイナスポイント

マイナスポイントとしては大きなものはこんな感じ。

  • コンバージョンが取得できない(今年夏に追加予定)
  • ユーザーのフィルタリングができない
  • 複数の指標を組み合わせたりクロス集計ができない

細かいところを挙げればもっとあるのですが、ビジネスとしての利用であればコンバージョンが取得できないのはマイナスポイントですね。また、分析していく上で必要となるフィルタリングやクロス集計などができないのも、Google Analyticsでは可能なだけに、やはり少し機能面で劣って見えてしまいます。

米Yahoo! Web Analyticsから窺う「大逆転の可能性」

一方、米Yahoo!のYahoo! Web Analyticsでは、ビジネス向けに限定公開されていることもあり、かなり「使える」Web解析ツールになっているような印象です。実際に見ていないので想像ではありますが。

実装されている機能としてはこのようなもの。

  • 50個までコンバージョン設定可能
  • PPCとの連携
  • メールレポート配信
  • 訪問者の年齢や性別などのレポート
  • Interest Categories report
  • Yahoo! Properties of Interest report
  • 各種フィルタリングやセグメント設定
  • などなど

コンバージョン設定などはともかく、興味を引くのはYahoo! IDのデータやポータルのデータと結びつけたレポート(おそらく)が提供されている点。

仮に日本でこれが提供されるとしたら、「訪問者の属性や嗜好が取得できるWeb解析ツール」にもなり得ます。基となるのは、日本有数のトラフィックを誇るYahoo!のデータ。それをどこまで信じるかは別の次元の話ではありますが。

ちょっと違いますが、いま話題の?Google Ad PlannerとGoogle Analyticsが組み合わせられたものといった感じでしょうか。つまりはGoogle Analyticsでもその可能性はあるわけですね。

もちろん、Overtureと仮に連携すれば、それだけでもGoogle Analyticsに近づいてきます。

まあ、あくまで想像の域を出ないのですが、現状は「まだまだ」の印象はぬぐえないものの、注目しておくに値するWeb解析ツールではないかと思います。

メインのWeb解析ツールにはならなくとも(やはりサポートがないとビジネスとしてはきつくなってくるでしょうね)、補助的な利用でのサブのツールとしては将来的には「あり」になるかもしれません。

と煽っておいて、Yahoo!さんはこうやって期待を持たせるのだけは得意ですから。Yahoo! DaysやYahoo!みんなのトピックス(終了)、Yahoo!なんでも交換といった不完全燃焼系のものも結構ありますし、そもそもすでに提供されているアクセス解析Yahoo!ログールはどうなるんだとか…、まあ様子を見守りましょうか。

Google Analyticsの対抗馬?「Yahoo!アクセス解析」使用レポート – リアルアクセス解析
Yahoo! Help – Yahoo! Web Analytics (Beta Release)
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